鉱山町の一刻

銅鉱町の昼休みは、一刻しかない。

坑口から共同井戸まで走り、長い列に並び、水筒を満たした頃には鐘が鳴る。飲む時間を惜しんだ坑夫が倒れても、坑主たちは「休みは与えている」と言った。

採鉱監督のベアトは、倒れた若者の水筒を拾った。

中は空だった。

翌日、彼女は坑主会議へ三枚の板を持ち込む。

一枚目は、各坑道から一日に出る鉱車の数。

二枚目は、井戸の手押しポンプ設置費。

三枚目は、負担額だった。

鉱車百台につき銀貨一枚。少ない坑はその割合だけ。坑夫からは取らない。集めた額と職人への支払いは坑口に掲示する。

さらに完成後は、赤鐘の組、青鐘の組、白鐘の組で汲む時間をずらす。どの組が最初になるかは日替わり。壊れたときの修繕時間も、板に記録する。

「うちの坑夫は足が速い。列でも困らん」

最大の坑主が言った。

ベアトは一枚目の板を返した。

「昨日、水待ちで遅れた者は二十三人。あなたの坑が十一人です。十一人が半刻止まった損失は、負担金の四日分です」

坑主は黙り、銀貨を置いた。

数字が公開されているので、他の坑主も逃げられなかった。だが、坑夫たちに夜の工事を命じる者はいない。ポンプは職人に任せるはずだった。

その夕方、倒れた若者が坑口に残った。

「早く完成すれば、明日から飲める」

彼が土台石を運ぶと、別の坑の者が鉄管を支えた。鍛冶師は曲がった部品をその場で直し、食堂は残り物の煮込みを持って来た。

作業時間は賃金として記録し、坑主負担から差し引いた。一銅貨単位で板に書かれたので、「善意だから無料にしろ」と言う者はいなかった。

四日目の昼、赤い鐘が鳴る。

赤組が新しいポンプへ並び、青組と白組は食堂で先にパンを食べた。取っ手を二度押すだけで、水筒は冷たい水に満ちる。

列は鐘が半分も進まないうちに消えた。

最後の白組の水筒が満ちたとき、休憩終了の鐘まで、まだ四半刻あった。

坑夫たちは戸惑ったように立ち尽くす。

それから井戸枠へ腰を下ろし、初めて急がず水を飲んだ。

掲示板の一番下で、ベアトが白墨を走らせる。

――本日の水待ち、零分。

次の鐘が鳴るまで、誰も坑口へ走らなかった。