黒パンと自由人

「税は、役人が必要だと思っただけ取る」

それが赤土村の古い決まりだった。

新領主ルカードが着任した日、徴税吏は農家の納屋から最後の麦袋まで運び出そうとしていた。農民たちは俯き、抵抗すれば土地を失うと知っている。

ルカードは荷車を止め、広場へ三つの升を置いた。

最初の升は来年の種。誰も触れない。

二つ目は家族が春まで食べる分。

その二つを満たした残りから、八分の一だけを税とする。

「残りがなければ税はゼロです」

徴税吏が青ざめた。

「領主館の収入が減ります!」

「減るのは、あなたが根拠なく増やした分だ」

税の用途も三つに限定した。道の除雪、共同製粉所、飢饉倉。各用途の袋数を倉の壁へ書き、月末に村の代表三人が数える。代表は地主、借地農、土地を持たない職人から一人ずつ。誰か一人だけでは倉を開けられない。

農民の一人が恐る恐る聞いた。

「本当に、種麦を取らないのですか」

ルカードは自分の領地証書を破る代わりに、徴税吏の隠し帳簿を皆の前へ置いた。

「来年の収穫を食べる領主は、今年しか領主でいられません」

その日の夕方、徴税兵を帰した後も、村人たちは広場に残った。命令は出ていない。石工が飢饉倉の傾いた壁を調べ、農婦が袋へ用途別の色糸を縫い、若者が三つの升に目盛りを刻んだ。

最も小さな畑しか持たない老人は、二つ目の升を満たしたところで麦が尽きた。徴税吏が舌打ちしたが、ルカードは帳面へ「税額〇」と書く。

老人は何度も確かめた。

「借りではないのか」

「不作に課さないと決めた税です。来年豊作なら、その年の八分の一を」

老人は初めて背筋を伸ばし、空になった袋を自分の肩で持ち帰った。

収穫の少なかった家は税を納めず帰った。豊作の家は八分の一を量り、さらに一袋を飢饉倉へ寄付した。寄付分には別の札を付け、税と混ぜなかった。

夜、粉屋が新麦で焼いた黒パンを持ってくる。ルカードは一切れを受け取り、農民たちと同じ長椅子へ座った。

倉の壁には、三つの数字が初めて書かれた。

種、暮らし、税。

その順番を誰も消せないよう、村の石工が文字の上から深く鑿を入れた。