不死王の期限は三百年前

不死王は、勇者を七人倒して笑った。

首を落としても戻り、灰にしても立ち上がる。最後に残ったのは、食料庫から連れてこられた期限鑑定士クーロだけだった。

【期限鑑定:対象が本来の性能を保てる期限を表示する】

「干し肉の腐り時しか分からぬ男か」

不死王が骨の剣を振る。クーロは転がって避け、砕けた玉座の陰へ隠れた。

勇者たちは不死王の肉体ばかり攻撃していた。だがクーロが見るべき対象は、肉体を戻している「不死」という性能そのものだ。

彼は迫る黒い霧へ鑑定を向けた。

表示された期限を見て、思わず聞き返す。

三百十二年前に失効。

「何だ、その顔は」

「あなたの不死、期限切れです」

広間が静まった後、不死王は腹を抱えて笑った。

「我は今も生きている!」

「誰も期限を確認しなかったからです。古代契約は、鑑定による失効通知を必要としていた」

クーロは食料庫で毎日していた通り、はっきり宣言した。

「品質保証終了。廃棄対象」

世界が通知を受理する。

不死王の笑い声が咳へ変わった。再生しかけた腕が止まり、金の冠は緑青を吹く。三百年分の腐敗が一度に追いつき、黒い鎧の中で骨が砂になった。

「待て、延長を申請する!」

「受付期間も二百九十年前に終わっています」

最後の指まで崩れ、床には古びた保証札だけが残った。

倒れていた勇者たちが顔を上げる。王都から来た騎士団長は、クーロが持つ干し肉袋を見て跪いた。

「国を救った報酬を望め」

「まず兵糧を入れ替えてください。あれも昨日で期限切れです」

王の力で動いていた骸骨兵も、主の保証が切れた途端に武器を落とした。骨は土へ還り、三百年閉ざされていた城の窓から朝日が差す。勇者たちは自分たちの必殺技より、クーロの一言が強かったことを認めざるを得ない。不死王を称える石碑には、勝者の名ではなく「期限は必ず確認すること」という注意書きが刻まれた。

笑いが起きた瞬間、クーロの職業欄だけは永久保証の光を帯びた。

【職業:期限鑑定士 → 永劫期限監査官】