凍湖の一番網

冬の湖で魚を捕れる穴は、十二か所しかなかった。

毎年、網元一族が夜明け前に全部へ杭を打ち、他の家は薄い氷の端へ追いやられる。新しい管理官ミハイが到着した朝も、若い漁師が「一番穴へ近づくな」と殴られていた。

ミハイは網元を牢へ入れず、十二本の杭を抜いて広場へ運んだ。杭には一から十二まで数字を刻む。

漁に出る日、参加する家が籤を引く。一番穴も十二番穴も一日ごとに交替。網を持たない家は、共同網の修繕を一刻すれば籤に加われる。捕れた魚は十二尾につき一尾を冬備えの氷室へ。大漁でも不漁でも率は同じ。氷室からの配給は家族人数で割り、籤の当たり外れとは切り離す。

「先祖が見つけた穴だ」と網元が怒鳴った。

「湖面はあなたの土地ではありません。ですが、網の技術はあなたのものです。教えた一刻につき、共同網の魚を二尾受け取れます」

利益を奪うのではなく、独占だけをなくす規則だった。

籤箱は透明な氷板で囲い、札を入れるところから皆に見せた。網元の甥が同じ番号を二枚入れようとすると、隣の幼児がすぐ指差した。

ミハイは甥を漁から追放せず、その日の籤だけ無効にした。次の日から正しく引けばよい。罰を恐れて従うのではなく、誰も得を隠せない仕組みに慣れてもらうためだった。

初日の籤で、一番を引いたのは網を持たない靴職人の娘だった。彼女は網元に頭を下げず、教師として頼んだ。網元は断りかけたが、周囲の視線ではなく、正式な報酬の木札を見て口を閉じた。

昼までに、娘の網には銀色の魚が十六尾入った。彼女は一尾を氷室へ置き、残りから二尾を網元へ渡した。

「明日は七番だな」

網元は籤札を確かめ、自分から共同網のほつれを直し始めた。

夕方、十二本の杭が湖畔に並ぶ。翌朝の順番は誰の手にも見える箱の中だ。

少女が一番杭を氷へ打ち込むと、澄んだ音が凍湖の端まで走った。かつて一族の印だった杭には、今はただ公平な数字だけが光っていた。岸では、明日の籤を引く十二家が、同じ火を囲んで網を乾かしていた。