謝罪係の退会

学生時代から続くボランティア仲間のチャットを、私は退会させられた。

トラブルのたびに謝罪文を書き、皆を守ってきた私への仕打ちとは思えない。誤字の多い汀、感情的な瑛莉、黙り込む代表。三人の言葉を整え、炎上する前に頭を下げさせるのは、いつも私だった。

汀は文章が苦手なので、ログイン情報を預かっていた。投稿前には私が下書きを確認し、幼く見える絵文字を削る。返事が遅い時は本人の代わりに送った。親しい仲なら、声色くらい再現できる。今朝、いつものパスワードを入れると拒否された。しかも三人とも、私の作った謝罪テンプレートを共有フォルダから消している。

何か失言をしたのだろう。私は汀の名前で、新しい謝罪文を作った。

《このたびは、私の軽率な発言により――》

すると汀本人から、会議室へ来るよう連絡が来た。

机には、四台の端末とアクセス履歴が並んでいた。三人は端末を伏せず、録音中の赤い表示を私へ見せた。以前なら録音する時は私の許可を取ったのに、その日は最初から外部の相談員までいた。寄付先を侮辱した投稿、内部の悪口、代表者への脅し。すべて友人たちのアカウントから送られているが、接続元は私の自宅だった。

「みんなが本音を言えないから、代わりに出しただけ」

「私たち、そんなこと思ってない」

炎上すると、私はすぐ謝罪文を用意し、窓口に立った。謝罪会見で泣く順番も、誰が私の肩へ手を置くかも決めた。世間から責められる友人をかばえば、絆は強くなる。何も起きない時の三人は、私の助言を聞かなくなるから困った。汀が辞めたいと言った時も、本人の名前で続投を宣言した。

三人は、私が火をつけて消していたのだと気づいたらしい。団体へ履歴を提出し、パスワードをすべて変更したという。

「もう、私たちの名前で話さないで」

私は退会通知を見つめた。何も書けない汀が、私なしで誤解を解けるとは思えない。

帰宅して白紙の文書を開いた。

差出人欄に汀の名前を入れ、《このたびは》と打ち始めた。