金色シールの夕食
日和は妹とのビデオ通話の前に、冷蔵庫の中を片づける。
妹の画面には、広いキッチンと新しい調理器具が映る。日和の冷蔵庫には、値引きされた惣菜と使いかけの調味料が並ぶ。通話中に食事を見せ合う流れになると、日和は金色の半額シールを剥がし、皿へ移してから画面に出した。
妹に見下されたことは一度もない。それでも、二歳年下の妹が正社員になり、引っ越し、貯金の話をするたび、日和は自分の暮らしを小さく折り畳んだ。派遣の契約更新、古い炊飯器、スーパーの閉店前。比べられる前に、自分で恥ずかしがっておけば傷が浅いと思っていた。
以前、妹が手作りのグラタンを見せた夜、日和はカップ麺を画面の外へ置き、「もう食べた」と嘘をついた。通話が終わってから伸びた麺をすすり、自分で自分の夕食を惨めなものに変えた。妹の暮らしがまぶしい日は、棚の傷や古いカーテンまで隠したくなった。隠すほど、日和の部屋には人に見せられないものばかり増えていった。
金曜日、日和は残業帰りにコロッケを二つ買った。半額シールはいつもより大きく、透明な蓋の中央に貼られている。通話が始まり、妹が新しい鍋を見せたあと、「そっちは何食べるの」と聞いた。
日和は反射的に蓋を画面の外へ隠す。シールを剥がそうと爪を立てると、紙だけが破れ、金色の半分が残った。
「コロッケ」と答え、容器をそのまま画面へ戻した。
妹はシールに触れず、「そっちの店、丸い方がおいしいよね」と言った。日和も「今日は丸い方が残ってた」と返す。それで話は終わり、妹は鍋の焦げつきについて愚痴を始めた。
通話後、日和はコロッケを皿へ移さなかった。容器のまま一つ食べる。衣は少ししんなりしていたが、中は温かかった。
金色のシールは、安く買ったという事実しか示していない。日和は残った半分を剥がさず、空の容器と一緒にごみ箱へ入れた。
妹より進んでいるか遅れているかは、今夜も分からない。分からないまま、二つ目のコロッケを自分のために温め直した。