青灯沼は日暮れに満ちる

灯ヶ淵ロアンの領地では、日が沈むたび葦の茎に青い油が満ちる。

夜蛙の石像が茎を傷つけずに油だけ吸い、硝子瓶へ注ぐ。瓶は岸の箱から街の灯油組合へ転送され、代金の一部は沼の浄化に、残りは領主の生活口座へ入る。曇りの日も冬の日も、夕暮れは一日に一度やってくる。

ロアンは王都の街灯局で、夕暮れを嫌っていた。

黒い制服の裾は梯子で裂け、手袋には油が染み込み、夜明け前の消灯まで帰れなかった。祭りの前は三日続けて仮眠だけ。辞めた後も旧局から「灯り不足」「北区消灯」「至急」と未読が届く。

沼の初収益は、蛙が最後の瓶へ栓をした直後に表示された。

〈青灯油三十二瓶、日次販売完了。本日分の生活費を振替済み〉

一日分はささやかだった。だが明日も夕暮れは来る。ロアンが梯子から落ちても、熱を出してもではなく、何もしなくても来る。

日ごとの入金は小さく、銀貨袋なら片手に乗るほどだった。だが、昨日の分を使い切っても今日の夕暮れが次を運ぶ。その規則正しさは、夜勤手当の多さより心を落ち着かせた。ロアンは昼のうちにスープを煮て、制服ではない柔らかな服のほつれを縫った。暗くなる前に食事ができるだけで、一日は驚くほど長く感じられた。

通信灯が赤く燃えた。

『ロアン、祭りの飾り灯が二百基足りん。今夜だけ戻れ』

元局長だった。

「青灯油なら組合へ売りました」

『油ではなく人手だ。お前は梯子が速い』

「落ちるのも速かったですよ」

『冗談を言うな。手当は弾む』

ロアンは沼の向こうで灯る青い瓶を眺めた。金を積まれるほど、自分の夜が買い戻せなくなる気がした。

「弾まなくて結構です。今夜は暗くします」

『街の祭りだぞ』

「私の休みです」

通信灯の芯を摘み、完全に消す。

家の明かりも一つずつ落とした。沼の青だけが窓から淡く差し込む。ロアンは擦り切れた制服を椅子の背から外し、箱の底へしまった。

まだ早い時刻だったが、寝台へ潜る。誰かのために夜を明るくしない自由は、暗闇の中で驚くほど温かかった。