首輪の耐久試験

奴隷兵ジャハルの処刑は、軍の新兵器発表会を兼ねていた。

司令官ベレニスは観覧席の将校たちへ、銀色の首輪を示す。

隣には兵器商人が並び、試験成功後の注文書を膝へ置いていた。将校たちにとって、ジャハルの首は製品性能を示す消耗品にすぎない。

「逃亡者処分用の爆裂環だ。装着者の魔力を封じ、首だけを確実に吹き飛ばす」

ジャハルは処刑台で両手を後ろに縛られ、首輪をはめられている。逃亡の理由は、敵国の村で子どもを斬れという命令を拒んだことだった。

彼と同じ部隊の奴隷兵は、広場の端で鎖につながれている。全員の首にも量産型の輪があり、逆らえば次は自分だと見せつけるため連れてこられた。

「製品評価に協力できて光栄だろう」

ベレニスが起爆鍵を回す。

爆音が広場を揺らし、黒煙が処刑台を包んだ。観覧席の幕が風圧ではためく。

将校たちは、首が落ちる場所へ視線を向けた。

最初に煙から現れたのは、ジャハルの頭だった。

ちゃんと首の上にある。

彼は爆発前と同じく、少し顎を引いて立っていた。首輪は花びらのように開き、破片が肩へ載っているだけだ。肌には煤すらついていない。

設計官が立ち上がった。

首輪の内側には爆発圧を逃がさない返しがある。外へ開いたということは、圧力が首に負けて逆流したことになる。彼は自分の計算式を思い出し、唇を青くした。

「装薬は正常です。台座の鉄板が四センチ陥没しています」

司令官は周囲の視線を感じ、笑った。

「旧型では不足か。城門破砕弾を使え」

処刑台の正面へ短砲身の大砲が運ばれる。人間へ照準を合わせる距離ではない。砲兵が顔をこわばらせる。

「撃て」

砲弾はジャハルの胸へ直撃した。

台の後ろにあった石壁が崩れ、煙と土砂が将校席へ降り注ぐ。耳鳴りの中、誰も歓声を上げなかった。

煙が裂ける。

ジャハルは同じように顎を引き、両手を背中へ回したまま立っていた。足元だけが柱状に残り、周囲は深い穴になっている。

「次は、城そのものを持ってくるか?」

声は大きくない。

だが奴隷兵の待機列から、鎖の鳴る音が一斉に止んだ。

ベレニスは起爆鍵を握り直す。鍵はもう何にも繋がっていない。

ジャハルが顔を上げる。

司令官はその視線を受け、椅子ごと一歩ぶん後ろへ退いた。