ひび皿は隠した配給まで分ける

難民野営地では、夕食のパンが一人四分の一に減らされた。

倉庫番は「残りは三袋だけだ」と帳簿を掲げる。けれど配給係のフェイは、隊長の天幕から毎夜、焼きたての匂いがすることを知っていた。証拠を探せば追放される。黙れば、冬を越せない子どもが出る。

その日、野営地の小鬼を退治した報酬で、一回だけ生活ガチャを引けた。

出てきたのは、縁にひびの入った白い皿だった。

【★1:取り分け皿】

【同じ食卓の料理を、正しく分けます】

隊長は笑い、配給台へ小さなパンを一個だけ置いた。

「では、それを五百人で分けてみろ」

フェイは皿にパンを載せた。小さく切り刻むだけなら、誰の腹も満たせない。だがここでいう「同じ食卓」は、目の前の台だけではない。王都から野営地全員へ送られた食料すべてだ。

彼女は登録名簿を皿の下へ敷いた。

「この野営地を、一つの食卓として分けて」

ひびが金色に走る。

隊長の天幕が内側から膨らみ、床下に隠されていた小麦袋が宙へ浮いた。副官の荷車から干し肉、倉庫番の私箱から砂糖、横流し前の油樽。食卓に属しながら隠されたものが、次々と配給台へ集まる。

皿はそれらを勝手に等分しなかった。乳児には柔らかな粥、働く者には厚いパン、病人には温かなスープという形で、必要な量を必要な器へ盛った。隊長の前には、彼が正当に受け取る一人分だけが置かれた。

隊長が皿を払い落とそうとすると、彼の手元の豪華な焼肉だけが一人前の干し肉へ戻った。奪った分を権力で「自分の取り分」に変えることはできない。

列の先頭にいた少女は、母親の椀にも同じだけ具が入っているのを確かめてから食べ始めた。配給台には、久しぶりに急かす声ではなく、温かい器を受け取る礼が続いた。

五百人へ行き渡っても、三日分の備蓄が残った。

監察官は帳簿と積み上がった袋の印を見比べ、隊長の剣を取り上げた。フェイは誰かを罵る代わりに、冷める前に食べるよう皆へ声をかけた。

ひび皿の欠けた縁が、王冠の形へつながる。

【隠匿物資を含む五百名分の適正配分完了】

【UR《公正配膳盤・誰も食卓の外へ置かない皿》――大陸初取得】