二つで一枚の扉
小鳥遊遼は、中央に一本しかない取っ手を引いた。数字の1と2を載せた二枚の板が重なりながら横へ滑り、同じ枠の中へ収まる。上の読み取り機が〈12〉を表示した。
丹羽梢は九番扉、金春駿は八番扉の前にいた。二人とも遼が「一番か二番」を選んだと思い、九を取った梢が勝つと信じていた。
規則は一行だけだった。
――一枚の番号付き扉を開き、最大の番号を示した者を勝者とする。
中央の設備は、見た目だけなら二枚の細い扉だった。左に1、右に2。しかし枠は一つ、取っ手も一つ、電子錠も一つ。左右の板は伸縮式の一枚の引き戸を構成する部材で、片方だけを開くことはできない。
「二枚開けた。反則だ!」
駿が叫ぶ。
遼は床に埋め込まれた避難図を指した。中央の記号には、一本の扉記号と〈D-12〉の管理番号がある。整備上も建築上も一枚の扉だ。二枚に見えたのは、表面が折り重なる構造だからにすぎない。
「数字も一と二じゃない。並んで十二を示している」
主催者は、参加者が目立つ九へ殺到する姿を狙ったのだろう。中央を二分して見せるため、数字の間へわざと継ぎ目を置いた。人は境界線を見ると、記号まで別々だと思う。
梢が九番を開く。読み取り機は〈9〉。駿の八は〈8〉。中央は〈12〉のまま変わらない。
「一枚という数え方は、見た目じゃなく機構で決まる」
遼は説明中、係員が中央の鍵を一度だけ解除したことを見ていた。二枚なら二つの解錠音が必要なはずだった。さらに取っ手が境界線をまたいで付いている。最初から一体だったのだ。
継ぎ目は数字の区切りではなく、収納のための折れ目だった。
判定灯が中央を緑に染める。
〈開放扉一枚。表示番号十二。最大値を確認〉
梢の九番が赤く閉じ、駿は継ぎ目を睨みつけた。
遼の首輪が外れる。
「二つに見せれば、人は足しもしないし、つなげもしない」
彼が取っ手を離すと、二枚の板は再び並び、1と2は何事もなかったように十二へ戻った。