今週を責めないための記録

月曜日、スーパーのレシートの裏に、一週間の献立を書いた。

月・鮭と味噌汁。

火・鶏肉と野菜炒め。

水・豆腐ハンバーグ。

木・残り物。

金・外で食べてもよい。

買い物かごには、鮭、鶏肉、豆腐、キャベツ、にんじん、しめじを入れた。二十六歳になったのだから、平日の食事くらい計画できる人でいたかった。仕事では締切を守り、予定を共有し、遅れそうなら先に連絡する。そのやり方を台所へ持ち込めば、生活も少しは管理できると思っていた。

月曜の夜、鮭は焼いた。味噌汁までは作れず、インスタントを添えた。

火曜は残業し、駅でパンを買った。鶏肉は冷凍庫へ移した。

水曜は豆腐の存在を忘れ、冷凍うどんに卵を落とした。

木曜の夜、レシートは冷蔵庫の扉から床へ落ちた。磁石が弱かったらしい。拾うと、「残り物」の文字が見えた。残っているのは、半分のキャベツと、使っていないにんじんと、疲れだった。冷蔵庫の冷気が足首へ流れ、開けっぱなしを知らせる音が鳴った。私は扉を閉めても、献立の前から動けなかった。

私は台所の椅子へ座り、献立を見た。計画通りにできたのは月曜だけ。金曜の「外で食べてもよい」だけが、最初から逃げ道として書かれている。その逃げ道さえ、許可が必要な書き方だった。

レシートを裏返す。表には、買ったものと値段が細かく印字されている。合計三千二百八十七円。使い切れなければ、その数字まで失敗に見える。

私は余白へ、実際に食べたものを書いた。

月・鮭、即席味噌汁。

火・くるみパン、カフェラテ。

水・卵うどん。

木・これから。

キャベツを二枚だけちぎり、塩昆布と混ぜた。にんじんは切らない。鶏肉も解凍しない。豆腐はそのまま小鉢へ出し、醤油をかける。献立と呼ぶには、ばらばらの夕食だった。

食べ終えて、木曜の欄に「豆腐、キャベツ」と足す。金曜の欄は空けたままにした。

計画を守れなかった一週間ではなく、毎日何かを食べた一週間としてなら、レシートの裏は埋まっていく。

私は磁石を二つ使って、紙を冷蔵庫へ留め直した。来週の献立ではない。今週を責めないための記録だった。