同じ棚に置く靴

戦で焼けた村へ百人の避難民が来たとき、最初に問題になったのは寝床ではなく浴場だった。

古い浴場組合は「三代住んだ家だけ」と決め、避難民を川へ追いやった。村を任されたベアトは、組合を解散させなかった。代わりに、使われていない穀物倉を第二共同浴場へ変えると告げた。

利用料は住民も避難民も一回銅貨一枚。払えない者は、薪運び、床磨き、湯桶修理のどれか一つで利用札を得る。仕事の換算は出身に関係なく同じ。三代の証明書も紹介状も要らない。

古組合長が嘲った。

「流れ者に壊されたら誰が払う?」

「壊した本人です。出身地ではなく、行為に責任を持たせます」

ベアトは修繕積立金を利用料の四分の一と定め、毎週残高を掲示した。罰金を取った場合も、誰が何を壊し、いくら直したかを本人の同意のもとで記録する。噂で一族全体を罰する余地をなくした。

最初に倉の床を剥がしたのは避難民の大工だった。次の日、村の瓦職人が屋根へ上った。

「雨漏りしたら、うちの評判まで落ちるからな」

その言葉をきっかけに、古い村の者も加わった。彼らは避難民を歓迎したのではない。自分たちも使える、規則の明瞭な浴場を造っているだけだった。それで十分だった。

開業の朝、古組合長が入口に現れた。ベアトは特別扱いせず、銅貨一枚を受け取り、空いている棚を指した。

彼の磨かれた革靴の隣には、避難民の泥だらけの木靴があった。さらに子どもの片方だけの靴、職人の鉄鋲靴が並ぶ。

誰かが棚の上へ板を掛けた。

――ここでは、靴を脱いだ順が入る順。

古組合長は湯から出ると、壊れかけた棚板を一枚見つけた。以前なら避難民のせいにしただろう。だが修繕記録を確認すると、板は十年前から傷んでいた。彼は木工札を一枚取り、自分で釘を打った。ベアトは褒めず、規定どおり利用札を渡した。そのやり取りを見た避難民の大工が、次の棚板を黙って支えた。歓迎の言葉より先に、同じ規則の下で仕事が続いた。

湯気が戸口を満たし、どの靴の持ち主も同じ白さに包まれた。