鉱山を潰す重さの行き先

採掘場の少年ブレンは、荷車に鉱石を載せるたび監督に殴られた。

彼の収納は物を軽くするが、消した重さを別の収納物へ移さねばならない。監督は面白半分に巨大な岩の重さを少年の靴へ移し、動けない姿を笑った。

【固有スキル《重量配分》:接触した対象群の重量を、一回の指定で任意の一対象へ集約して収納できる】

便利に見えて、受け皿が必ず潰れる。生物へは移せず、空き枠にも限界がある。ブレンは小石を軽くする程度しか許されなかった。それでも帰り道では、老坑夫の荷だけを少し軽くしていた。

深層坑で、領主が禁じられた爆破魔石を使った。

希少鉱脈を早く掘るためだった。天井を支える岩盤に亀裂が走り、三百人の坑夫が地下へ閉じ込められる。出口の鉄扉は落盤の圧力で開かない。

領主と監督は先に昇降籠へ乗っていた。

「坑夫が勝手に掘りすぎたことにしろ」

そう命じ、地上へ逃げる。

岩盤が一尺ずつ沈む。

支柱が折れ、父親たちが子どもの名を呼ぶ。ブレンは掌ほどの黒鉱石を拾った。それは何千年も圧力を受けて生まれ、重さを魔力へ変える性質を持つ。これまで誰も、山一つ分を受け止められるとは考えなかった。

だが受け皿が壊れるなら、壊れないものを選べばいい。

彼は床へ両手を置き、崩落範囲にある岩、土、支柱、鉄扉の重量を対象群として指定する。そして全重量の行き先を、黒鉱石一粒に決めた。

一度の配分。

轟音の直前、天井が羽毛のように浮いた。

坑夫たちは手で岩盤を押し上げ、重さを失った鉄扉を開く。誰も命を落とさなかった。黒鉱石は山の重量を飲み込み、砕ける代わりに金色の魔石へ変わった。

地上では領主の昇降籠だけが動かなかった。

動力に使うはずの黒鉱石が、すべて少年の一粒へ統合されたからだ。救出された三百人が縄を引き、領主の籠をゆっくり地上へ戻す。その周囲を王国監査隊が囲んだ。

ブレンの掌で金色の魔石が脈打ち、採掘札の文字を塗り替える。

【職業が《鉱石運搬童》から《質量蔵守》へ書き換わりました】