いちご四つのサンド

柊原詩は、入院前夜にいちごを四つだけ買った。

妹が明日の朝、新しい職場へ初出勤する。詩は同じ時刻に病院へ入る。二人とも家を七時に出るが、向かう方向は逆だった。

「朝ごはん、いらないからね」

妹は緊張すると食べられなくなる。だから詩は返事をせず、食パンと生クリームもかごへ入れた。

帰宅してから、四つのいちごを同じ厚さに切る。生クリームは泡立てすぎない。パンへ薄く塗り、切った断面が中央へ来るよう並べる。いつも写真で見る果物サンドは、切る場所まで計算されている。今夜の詩には、その計算がちょうどよかった。

妹は入院バッグの上に座り、社員証のケースを何度も開け閉めしていた。

「病院って、朝ごはん出るの?」

「明日は昼から」

「じゃあ、お姉ちゃんの分も作れば」

詩はパンをもう二枚出した。いちごは残っていないので、自分の分には端の小さな切れを集めた。四角く包んだ二組を冷蔵庫で十分休ませる。その間に、余ったパンの耳をフライパンで焼いた。砂糖は振らず、残ったクリームをつける。

二人で耳だけを食べた。妹は社員証を首から下げたまま、詩は病院の腕輪を想像しないように、焦げ目を数えた。固い耳はよく噛まなければ飲み込めなかった。

冷えたサンドを切る。妹の断面には赤い丸が四つ並び、詩の断面は少し崩れた。詩はきれいなほうを妹の弁当箱へ入れる。

妹が箱の裏へ付箋を貼いた。「帰ったら感想」とだけ書いてある。詩は剥がさず、その上から透明なゴムバンドをかけた。

妹は二つの包みを見比べ、崩れたほうを自分の箱へ入れようとした。詩は先にきれいな断面を押し込み、隙間へパンの耳を一本添えた。「新人は見た目が大事」と言うと、妹は「患者もでしょ」と返した。詩は自分の分を透明な袋へ入れ、病院で食べる朝食ではなく、受付を待つ間の軽食にすると決めた。袋の口には何も書かなかった。

妹の箱には赤い断面が上を向いていた。詩は曇った蓋を指で一度拭き、並びを見直した。

両端を引き、箱の中央でまっすぐ止めた。