共有画面の右上

朝の進捗会議で、部長は私を全員の前に立たせた。

顧客対応記録を大量に削除した責任を認めろという。私は削除していないと答えたが、部長はアクセス履歴の一部を共有した。

《実行者:担当者》

そこには私の社員番号があった。

部長が処分案を読み上げている間、共有画面の右上に参加者数が表示された。

部署は十二人、役員一人、私を含めて十四人のはずなのに、数字は「15」だった。

一覧を開くと、最下段に「Admin-Guest」。カメラも音声もなく、部長は「システム管理用の自動接続」と説明した。

私は役員へ、ログを省略せず表示するよう求めた。

部長が見せたのは「操作対象者」の列で、「実行端末」の列が隠されていた。非表示を解除すると、削除はAdmin-Guestの端末から行われている。

私の社員番号は、削除対象フォルダの所有者として記録されていただけだった。

部長は外部委託の管理者が誤操作したと言った。

Admin-Guestが突然チャットへ一文送った。

《誤操作ではありません。部長の指示です》

続けて作業依頼書が共有された。依頼者は部長、更新時刻は昨夜二十三時四十八分。内容は《担当者の記録を削除し、本人操作に見える形式で報告》

会議招待のCCにも、外部管理会社の担当アドレスが残っていた。

部長は、部外者の文書は信用できないと声を荒らげた。

私は削除対象の一覧にも違和感を示した。消されたのは、部長の値引き指示や納期改変を記録した案件だけで、私の通常対応は残っている。Admin-Guestが画面に出した作業チェックリストには、削除すべき案件番号を部長が赤字で指定していた。

役員は会議室予約を表示した。昨夜、部長は外部管理者と「緊急保守」の名目でオンライン会議を予約している。録画ファイルには、削除手順を説明する部長の声が残っていた。

処分案の共有が停止した。

役員は私の社員番号を削除し、部長の番号を入力する。

「担当者への戒告と降格案を撤回する」

共有画面の右上からAdmin-Guestが退出し、数字が十四に戻る。

「代わりに、部長を本日付でプロジェクトから外す」