朝七時の会を休む
羽菜は土曜の二十二時に、目覚ましを六時二十分へ設定した。
日曜の朝七時から、近所の公園を歩くグループに入っている。転職したばかりの頃、休日まで昼に起きる自分を変えたくて、地域の掲示板から参加した。二十代から五十代まで六人。歩き終えると、チャットに空や木の写真を一枚ずつ送る。
けれど今週、羽菜は毎日終電近くまで働いた。金曜に洗濯できず、今日も昼過ぎまで眠った。起きてから掃除をしようとしたが、床に落ちた髪を拾っただけで終わった。午後に一度だけ外へ出て、ドラッグストアで洗剤を買った。青空の写真を撮ろうとしたのに、電線ばかり写ったので保存しなかった。
〈明日の朝、私は休みます〉
グループへ送って三十分、既読はゼロだった。
普段なら一分もせず、誰かが〈了解〉と返す。先週は、欠席した人へ公園の金木犀の写真が三枚届いていた。今夜はみんな早く眠っているのかもしれない。羽菜は「休みます」という言い方が、わざわざ宣言するほどのことではなかった気がしてきた。自分一人が欠けても、会は普通に始まる。
夕飯のサラダ巻きは、冷蔵庫に入れすぎて米が硬かった。レシートの裏に、明日やることを五つ書いてある。洗濯、掃除、作り置き、資格の勉強、散歩。休むなら、その分を別の有意義さで埋めなければならないように並んでいた。
羽菜は一切れ食べ、目覚ましの画面を見た。六時二十分まで、あと八時間もない。早く寝なければと思うほど、胸がざわつく。
チャットにはまだ既読がつかない。
羽菜は送信を取り消さなかった。休む知らせは、存在感を確かめるためではなく、自分が休むと決めるために送ったのだと思い直す。
目覚ましをオフにした。レシートの裏の五項目には線を引かず、冷蔵庫へ磁石で留める。明日起きた時間から、できるものだけ選べばいい。
最後のサラダ巻きを口に入れ、照明を一段暗くする。誰にも〈了解〉されていない休みでも、休みは休みだった。羽菜は日曜の朝を空白のまま、自分に渡した。