百人分の持参金

春の縁組会で、フレデリク王子は百人の若い女性が見守る中、サビーナへ告げた。

「戦災孤児の持参金基金から一割を横領した。支給台帳を管理していたお前の犯行だ。婚約は破棄する」

壇上に長い台帳が置かれる。百人の受領欄のうち、十人分だけ金額が少ない。

この基金を作るため、サビーナは自分の婚礼宝石を半分売った。けれどそれを口にすれば、善意を盾に逃げると責められる。十人の女性が俯く姿を見て、彼女は悔しさを飲み込み、自分の名誉より先に、彼女たちの受領記録を守ると決めた。

泣き出す者もいたが、サビーナは彼女たちへ向けて一度だけ頭を下げた。謝罪ではない。必ず名誉と金を取り戻すという、短い約束だった。その約束だけは、王子の許可を必要としない。

「不足を生じさせた者が私だと、殿下は断言なさいますか」

「台帳が示している」

「では、台帳に最後まで語らせましょう」

女大公メルセデスが、台帳の留め紐をほどいた。支給台帳には、受領者が指を置くと、実際に渡された金額と渡した者を一度だけ浮かべる《花嫁線》が織り込まれている。

十人分の欄が淡く光った。

――支給額、満額。

――支給者、サビーナ・オルネ。

――差額回収者、フレデリク・ラガン。

王子は、受領後に「王家手数料」と称して一割を取り戻していた。その不足をサビーナの横領にしたのだ。

「慣例だ」とフレデリクは言った。「王族との縁を得る者が礼金を払うのは当然だ」

「孤児から未来を借りる慣例など、今日で終わりです」

サビーナは十人の名を指でなぞり、それから婚約証を外した。

王子は焦って手を伸ばす。

「婚約破棄は撤回する。お前が改革を望むなら、私の妃として行えばいい」

「私の改革に、あなたの許可は要りません」

婚約証を台帳の空白へ置き、彼女はフレデリクに背を向けた。

メルセデスは百人の女性たちの先で、片手を差し出していた。大公領の女性財産法を共に作るかどうか、命令ではなく選択として。

サビーナは誰かの持参品になる道を離れ、自分でその手を取った。