罰の鐘が鳴りやまない
七つの罰鐘が鳴る処刑台では、罪人の骨まで音で砕ける。
少なくとも、鐘守司祭マクシモはそう教えていた。
罪人イザネは、鐘楼の真下に立たされている。彼女は聴覚を失った石工のため、税を免除するよう嘆願した。神殿の答えは「鐘の音を疑った異端者」という罪名だった。
罰鐘を鋳たのも、その石工の父だった。鐘の修繕税を毎年納めながら、息子は鐘のせいで耳を失った。イザネは修理記録にその事実を書いただけだ。
「耳を塞いでも無駄だ」
マクシモが笑う。
イザネの手は前で縛られ、耳を塞げない。彼女は鐘楼を見上げたまま言った。
「あの鐘、三番だけ留め金が緩んでいます」
彼女は鐘楼の保守を任された石工でもある。報告書は三度提出し、三度とも寄進箱の下から未開封で見つかった。
「死の間際まで職人気取りか。鳴らせ!」
司祭が銀の槌で床の共鳴板を打つ。
第一の鐘が鳴った。
音は目に見える輪となって降り、処刑台の石を削った。続けて第二、第三。衝撃が重なるたびに柱が折れ、観衆の胸まで震える。
三つの余韻が消えたあと、イザネは同じ姿勢で立っていた。
顎を上げ、鐘楼を見ている。服の裾さえ揺れていない。
マクシモは銀槌を見た。手のひらが痺れている。罪人の体に触れるはずだった反響が、すべて槌へ戻ってきたようだった。
補佐司祭は共鳴板の目盛りを確認した。三鐘だけで通常の死刑出力を超えている。弱かったのではない。十分すぎる威力が、イザネだけを壊せなかった。
「七鐘すべてだ!」
補佐司祭たちが止める間もなく、彼は共鳴板を連打した。
四、五、六、七。
空気が白く濁り、鐘楼の窓が一斉に割れる。石の処刑台は粉塵へ変わり、広場に立つ者は皆、膝をついた。
鐘の余韻だけが長く残る。
粉塵の中で、イザネはまだ顎を上げていた。
足元には、彼女が立っていた幅だけ石が残っている。手の縄も切れていない。
やがて三番鐘が大きく傾いた。
彼女の言ったとおり、留め金が外れかけている。
「今なら直せます」
イザネは淡々と言った。
マクシモは銀槌を振り上げ、もう一度共鳴板を叩こうとした。
だが槌の頭には、七本の亀裂が走っていた。
最後の鐘が鳴り終わるより早く、銀の槌は司祭の手の中で砕けた。