訳さない招待状

国際交流サークルの仲良し四人から、私は外された。

通訳のできる私がいなければ、月乃たちは外国人の友人とまともに話せないはずだった。店の注文から恋愛相談まで、私は二つの言葉の間に座ってきた。皆が笑うタイミングを揃えられるのも、意味を知る私が合図するからだ。

待ち合わせ場所を尋ねても、全員が外国語で返してきた。しかも短い文なのに、誰も私へ訳を頼まない。私は読めないふりをした。これまで連絡は必ず私を通す約束だったからだ。

もう一つ変なのは、月乃が辞書を持っていなかったことだ。代わりに、小さなイヤホンを片耳へ入れていた。自動翻訳を使うなと何度も言ったのに。機械は感情を汲めず、私のように傷つく言葉を省いてはくれない。彼女は挨拶さえ間違える。私が毎回、相手の言葉を柔らかく直して伝えてきた。

駅前で四人を見つけると、月乃は海外出身の女性と直接笑い合っていた。笑う間も相づちも、もう私の合図を待っていなかった。四人の輪には、通訳を入れるための隙間すらない。

私は女性の言葉を遮り、「月乃、帰ってほしいって」と訳した。

女性は日本語で答えた。

「私は、そんなこと言ってません」

半年かけて日本語を学んだのだという。月乃も同じ期間、相手の言葉を勉強していた。二人が過去のメッセージを比べると、私の訳だけ意味が違っていた。

《会いたい》《忙しい》に。

《素敵な服》《派手すぎる》に。

《二人で話そう》《珠理も連れてきて》に。

皆が私を必要とするよう、誤解を防ぐ範囲で調整しただけだ。月乃が一人で食事へ誘われた時は、危険な意味があると断った。外国人の女性には、月乃があなたの訛りを笑っていたと伝えた。二人が直接会わなければ、どちらも私へ相談してくれた。直接話せば、私の知らない友情ができてしまう。

月乃は今日の招待状を見せた。そこには「珠理以外の四人で」とはっきり書かれていた。

四人が去ったあと、別の友人から内容を尋ねる連絡が来た。

私は招待状を閉じ、「みんな、月乃が来るなと言ってる」と日本語にした。