偽聖女と日輪狐

聖女候補フィアナは、王宮の日輪狐ソレイユに認められなかったとして「偽物」の烙印を押された。

選定の間で狐は彼女へ牙をむき、金の尾を荒々しく打ちつけた。神官たちはそれを拒絶の証と決めつけ、フィアナを辺境へ追放しようとする。

だが彼女には、ソレイユが自分を睨んでいるのではないと分かった。狐の視線は何度も右前足へ落ち、金糸の飾り紐の下から血がにじんでいる。

歴代候補は豪華な贈り物で近づいたという。誰も足元を見なかったのだ。

「最後に、一度だけ近づかせてください」

神官長は冷笑し、失敗を皆に見せるため許可した。

フィアナは聖杖も香炉も置き、床へ膝をついた。ソレイユの尾が炎のように膨らむ。

「選ばなくていいのです。痛いところを見せてくれるだけで」

彼女は自分の靴紐をほどき、締めつけた足首へ赤い跡が残るのを見せた。それから飾り紐を切る小鋏を床へ置き、手を引く。

日輪狐は長い沈黙の後、右前足を鋏の隣へ置いた。

金糸の下には細い鋼線が巻かれていた。神官が獣を儀礼台へ立たせ続けるため仕込んだものだ。動くほど締まり、皮膚へ食い込む。

フィアナは怒りを抑え、まず糸を一本ずつほどいた。最後の鋼線を切ると、ソレイユは小さく鳴き、彼女の胸へ額を押しつける。

その瞬間、選定の間を満たすほどの光が広がった。狐の額から現れた日輪紋が、フィアナの胸へ重なる。

神官長が「獣が錯乱した」と叫ぶと、ソレイユは彼の袖から同じ鋼線を引きずり出した。偽りが暴かれ、追放状はその場で破棄される。

フィアナは聖女の冠より先に、傷へ薬を塗った。ソレイユは八本の尾で彼女を囲み、膝へ頭を載せる。

聖女として迎えられることになったフィアナは、冠を受け取る前に王宮中の獣飾りを点検させた。美しい金糸の下で同じ鋼線に傷つく獣が二度と出ないよう、儀礼より手当てを優先する規則を作る。ソレイユは玉座の隣ではなく、その規則を書き上げる彼女の机の下を居場所に選んだ。

金の毛は夕日を抱いた毛布のように温かく、八本の尾と一つの信頼が、逃げ場のない幸福な重さで彼女を包んだ。