背骨の旗

玉座の前で敵王が倒れ、ブレッサの背骨が一本伸びた。

鎧を突き破った骨は肩甲骨の上へせり上がり、旗竿のようにまっすぐ立つ。そこから薄い赤膜が広がった。

勝者の旗だ。

《不屈旗》の加護を受けた者は、勝つたび背骨を一本増やし、二度とその勝利に屈しない。代わりに身体を曲げる動作が一つずつできなくなる。

初勝利で頭を下げられなくなった。次に膝をつけなくなった。五勝目には椅子へ座れず、十勝目には眠るときさえ直立した。昨日、負傷したタバルを抱き上げようとして、自分の腕が胸まで届かないことに気づいた。

「終わったぞ」

ブレッサが言う。

玉座の裏から泣き声がした。敵王が盾にしていた幼い王子が、倒れた柱の下に挟まれている。

タバルが腹の傷を押さえながら這ってきた。

「柱を持ち上げろ。俺が子どもを引く」

ブレッサは柱へ両手を掛けた。力は十分ある。二十七の勝利が背中を支えている。しかし腰が曲がらないため、低い位置へ指が届かない。

「膝をつけ」とタバルが叫ぶ。

「できない」

「なら、負けを認めろ。加護が解ける」

勝利を一つ撤回すれば骨は縮む。ただし、その戦いで守った者すべてが死ぬ。それが旗の裏面に刻まれた条件だった。

どの勝利も捨てられない。

ブレッサは剣を柱の下へ差し込み、てこのように押した。刃が折れ、破片が腕へ刺さる。それでも持ち上がった隙間へタバルが潜り、王子を引き出した。

柱が落ちた。

タバルの下半身が潰れた。

「勝ったな」と彼は笑った。

ブレッサは近づいたが、横たわる友の顔まで屈めない。手も届かない。

「最後くらい、顔を見せろ」

彼女は全力で背を曲げた。二十八本の余分な骨が軋み、一本も譲らない。背中の赤い旗だけが大きく揺れた。

タバルの呼吸が止まる。

王子は救われ、敵王は死に、戦いは完全な勝利となった。

新しい骨が首の後ろへ生え、ブレッサの顔を正面に固定した。

彼女はもう死者を見下ろすことも、生者へ頭を垂れることもできなかった。

ただ勝者の旗だけが、友の血を吸って誇らしげに広がっていた。