錆びた鍵

オズウィンの鍵は、どの扉にも合わなかった。

掌より長く、歯が七つ。もとは処刑塔の鍵で、百人以上を閉じ込めてきた鉄だった。今夜だけは、人を外へ出す形に削られている。赤錆に覆われ、軸は少し曲がっている。鍵の歯は城門を開くためではなく、敵の塹壕の高低を写したものだった。七つの歯のうち、四つ目だけ低い。そこが夜襲の通り道になる。

オズウィンは敵軍の錠前師を名乗り、包囲陣へ入った。腰には鍵を一本だけ下げた。道具を多く持てば、本物か試される。一本しかなければ、盗まれた職人に見える。

最初の柵で兵が笑った。

「その鍵で王城でも開けるのか」

「王城は開かん。お前の妻の貞操なら開く」

殴られたが、通された。

二つ目の柵では、壊れた兵糧庫の錠を直せと言われた。オズウィンは鍵穴を覗き、針金を借り、錠を開けた。錠前師だった過去は嘘ではない。嘘なのは雇い主だけだ。

三つ目で、工兵長ベルトラムが鍵を奪った。

「これは何の鍵だ」

「帰れなくなった家の鍵だ」

「歯が新しく削られている」

錆は古い。歯の断面だけ、昨夜削った銀色が残っていた。オズウィンは自分の舌を噛んだ。考える時間を血の味で測る。

「敵城の地下牢です。捕虜から型を取った」

「なら試してみよう」

工兵長は彼を前線へ連れていった。城壁下の坑道に、捕虜用の鉄扉がある。鍵は当然入らない。

オズウィンは錆を削り、槌で歯を曲げ、わざと半刻を使った。その間に、七つの塹壕と見張り塔の位置を自分の目で確かめる。鍵の歯が示す形と一致していた。

「偽物だな」

工兵長が剣を抜いた瞬間、城から投石が飛んだ。坑道口が崩れ、灯が消える。オズウィンは土煙の中で兵の外套を奪い、四つ目の低い塹壕へ走った。

そこだけ胸壁が腰までしかない。鍵のとおりだった。

味方の城門へたどり着いたとき、左腕にはもう指が二本しか残っていなかった。守将は錆びた鍵を受け取り、胸壁の向こうの影へ重ねる。七つの歯と、七本の見張り塔。その間に一つだけ低い闇がある。

「四番目だ」

オズウィンは頷いた。

城兵は声を上げず、一人ずつ低い闇へ消えていく。

夜半、王城の小さな出撃門が内側へ開いた。