呼ばれなかった夜の味噌汁

沙月はインスタントの味噌汁に湯を注ぎ、乾燥ねぎが浮くのを待っていた。夕食は冷凍ご飯と納豆。それだけでは寂しい気がして、味噌汁を足した。

スマートフォンには、以前よく遊んでいた友人たちのホームパーティーが表示されていた。床に料理が並び、見覚えのある六人がグラスを上げている。〈急きょ集まれた奇跡〉

沙月には連絡が来ていなかった。

最後にそのグループで会ったのは半年ほど前だ。会話についていけず、帰り道でどっと疲れた。それから誘いを二度断り、自分からも連絡しなかった。呼ばれなくなるまでの経緯は、ちゃんとある。

それでも写真を見た瞬間、胸の奥が冷えた。自分がいなくても笑い声は同じ量で、テーブルの料理も減っている。六人のうち一人が載せた動画には、沙月が以前使っていたマグカップまで映っていた。

コメント欄を開き、誰が反応しているかを見た。知らない人の名前まで確認して、ようやく自分が何を探しているのか分からなくなった。

味噌汁の表面に膜が張り始めていた。沙月はスマートフォンを置き、箸で混ぜる。湯気が顔に当たり、眼鏡が曇った。

誘われなかった悲しさと、もし誘われても行きたくなかった気持ちは、矛盾せず並んでいた。行きたくない場所からも、忘れられたくはなかったのだ。

そんな都合のいい感情を、未熟だと片づけるのは簡単だった。でも今夜は、正しい友人でなくてもいいことにした。寂しいなら寂しいまま、納豆を混ぜればいい。

沙月は写真への反応をしなかった。無視して仕返しをしたいわけでも、平気なふりをしたいわけでもない。ただ、今は画面の向こうへ明るい言葉を渡せなかった。

味噌汁を一口飲む。少し濃く、舌が熱かった。冷凍ご飯は中央だけまだ冷たかったので、もう一度レンジに入れた。

六人の夜には入れない。けれど自分の夕食まで冷たいままにする必要はない。

レンジが鳴るまで、沙月は味噌汁の椀を両手で持った。呼ばれなかったことの答えは出さず、温かさだけ受け取ることにした。