最後の五個
冷凍庫に餃子が五個だけ残っていた。
袋には「一回十二個が目安」と書いてある。先週、二回に分けて食べた残りだ。五個では夕食として少ない。けれど新しい袋を買い足すほどでもなく、私は何日も冷凍庫の隅で眠らせていた。袋を開けるたび、もう少し食材がそろった日に使おうと思う。一人分の食事にも、主菜と汁物と野菜を並べなければならないような気がして、五個だけでは食卓へ出せなかった。
火曜の夜、帰宅すると、米を炊く気力も、コンビニへ戻る気力もなかった。冷蔵庫には卵と、萎びかけた長ねぎ。財布の中には昼のレシートがあり、千円を超えたランチの金額が少し痛かった。外食するほどではない夜と、料理するほどでもない夜の間に、私はよく立ち止まる。
私は餃子を取り出した。霜のついた五個が、袋の底で軽い音を立てる。
フライパンに並べると、円にはならなかった。説明どおりに水を入れたつもりが多すぎて、餃子は焼かれるより煮られている。蓋の内側を水滴が走り、台所に油と小麦粉の匂いが広がった。
待つあいだ、ねぎを切る。まな板を出すのが面倒で、キッチンばさみで味噌汁のカップへ直接落とした。卵も入れ、熱湯を注ぐ。即席味噌汁の味は薄くなったが、黄色い卵がゆっくり固まった。
蓋を取ると、餃子の一つがフライパンへ貼りついていた。へらを入れた瞬間、皮が破れ、具が半分こぼれた。
きれいに焼けなかった五個を皿へ移す。数が少ないので、皿の余白が大きい。私はそこへ味噌汁のねぎを少しこぼした。
テレビもつけず、立ったまま一個食べる。底はぱりぱりではない。皮は柔らかく、破れたところから肉汁も逃げている。それでも、生姜の味がして熱かった。
五個では足りないと思っていたが、卵の入った味噌汁を飲むと、腹の奥がゆっくり落ち着いた。足りなければ食パンを焼けばいい。そう思えるだけで、五個を五個として食べられた。
袋を捨てる前に、「一回十二個が目安」の文字を見た。目安は、命令ではない。
最後の一個は破れた餃子だった。私はこぼれた具まで箸で集め、皿の余白ごと食べ終えた。