神罰の雷を同梱する

大神殿の運搬僧ヨハネスは、種類分けだけが得意な男だった。

同じ属性の品を一つにまとめる収納を持つが、聖具を扱う資格はない。

【固有スキル《属性同梱》:同一属性と判定された対象群を、一回の指定で一枠へ束ねる】

火の薪、冷たい氷、聖別された水。倉庫整理には役立つが、枢機卿は「神の奇跡に比べれば棚札以下」と笑った。ヨハネスは異端審問で没収された私物を地下へ運ぶ毎日だった。

没収品は粗末な靴、子どもの木彫り、祖母の祈祷紐ばかりだった。危険な呪具など一つもない。彼は持ち主の名を荷札の裏へ書き残し、いつか返すため種類ごとに守っていた。

新教皇の即位式、広場へ千人の「異端者」が並べられた。

実際は、重税に抗議した職人と農民である。教皇は処刑を神意に見せるため、天罰塔を起動した。雲が渦巻き、白い雷が罪人役の人々へ照準を合わせる。

ヨハネスは塔の整備記録から、奇跡の正体を知っていた。

地下炉で作った人工雷だ。だが証拠を持ち出す前に見つかり、広場の中央へ引きずられた。

教皇は杖を掲げる。

「神に逆らう者へ、同じ天罰を!」

最初の雷がヨハネスの足元へ落ちた。

石畳に小さな電光が残る。続いて千本の雷柱が雲から伸びる。一本ずつなら収納枠が足りない。だが教皇自身が「同じ天罰」と宣言し、術式も全対象を同一属性として接続した。

分類は、権威者の言葉で確定している。

ヨハネスは焦げた石畳へ手を置き、最初の電光と空を埋める千本を一群に指定した。

一度だけ同梱する。

昼より白かった広場が、突然影へ戻った。

千本の雷は最初の火花と同じ一枠へ束ねられ、雲ごと消える。天罰塔は放出口を失って逆流し、地下壁面へ隠された人工炉と会計帳簿を吹き飛ばした。盗まれた税金の額が、焼け残った金文字で露出する。

人々は処刑台から降りた。

神殿騎士団長が教皇の杖を折り、ヨハネスの前で兜を脱ぐ。空き枠の中では千一条の雷が一本の細い光になり、新しい聖印を描いた。

【職業が《神殿運搬僧》から《天威収蔵卿》へ書き換わりました】