葬列の最後尾
葬列の最後尾には、未亡人と、亡くなった男の恋人がいた。
未亡人は黒い帽子に短いベールを垂らし、棺のすぐ後ろを歩いた。恋人は長いベールで顔を隠し、誰とも言葉を交わさず列の最後についた。参列者は二人を別々に見たが、互いが近づく場面だけはなかった。
私が気づいたのは、二人の手袋から同じ白檀の香りがしたことだった。さらに未亡人の右手と恋人の左手は、どちらも薬指の真珠が一粒欠けていた。喪服店の量産品だろう、と親族は言った。
男は階段から転落して死んだ。未亡人には夫の暴力という動機があり、恋人には別れを迫られた恨みがある。死亡時刻、未亡人は慈善会の打ち合わせに出席し、恋人は男の家へ入る姿を近隣に見られていた。二人の存在は、互いのアリバイと動機を分けていた。
恋人が残した手紙には、未亡人しか知らない階段の軋む段が記されていた。未亡人は夫から聞いたのだろうと言い、恋人の存在を憎む様子を見せた。しかし怒りを語る時だけ、彼女は「私たちを選ばなかった」と複数形を使い、すぐ「私を」と言い直した。
慈善会の打ち合わせ中、未亡人は化粧室へ十分間席を外していた。近隣が恋人を見たのも、その十分間だった。車なら往復できる距離だが、誰も喪服の妻が別の喪服へ着替えるとは考えなかった。
式の途中、恋人が席を外した。私は追わず、未亡人の控室へ向かった。鏡台には、長いベールと髪を膨らませる網、白檀の香水が置かれていた。窓から裏庭へ出れば、列の最後尾まで三分で回れる。
写真係の連続撮影を確認すると、未亡人が棺の陰へ隠れた直後に恋人が現れ、恋人が門柱へ消えた直後に未亡人が戻っている。二人が同じ画面に収まった写真は一枚もない。
火葬炉の前で、長いベールの恋人が再び現れた。私はベールを上げた。下にあったのは未亡人の顔だった。
「未亡人なら夫を殺す理由がある。恋人なら家へ入っても不自然ではない。便利な二人でしたね」
彼女は欠けた真珠を指でなぞった。
葬列の先頭近くで泣いた妻と、最後尾で顔を隠した恋人は二人ではない。一人が列の長さを使い、夫の人生に二つの女を置いただけだった。