十頭ごとの風除け布
砂漠の町ザハラでは、小さな商隊ほど門を避けた。
入市税は商隊一組につき銀貨二十枚。百頭の大隊商も、三頭のロバを連れた薬売りも同じだった。大商人は払えたが、小商人は町を迂回し、住民は針一本、薬一包を買うにも隣国まで待たされた。
門番長ヤスミンは、薬売りの老女が熱病の子を前に門外で立ち尽くすのを見た。
「三頭に二十枚など、門を閉めているのと同じです」
彼女はその場で老女を通し、新しい税率を砂板へ刻んだ。
荷を運ぶ獣十頭ごとに銅貨三枚。九頭以下も銅貨三枚で、百二十頭を超えても上限は銅貨三十六枚。空荷で帰る商隊は半額。集まった金は門前の風除け布と家畜の水槽にだけ使う。
「大商隊への上限は優遇では?」
町の商人が問う。
「百二十頭以上は門外に隊列を分け、警備も自前で出します。町の負担がそこで増えなくなるから、税も止めます。理由まで板に書きます」
「頭数をごまかすぞ」
ヤスミンは十個ずつ色の違う数珠を用意した。商隊主と門番が一緒に数え、数珠を透明な筒へ落とす。誰でも本数を見られた。
翌月、三頭、七頭、十二頭の小商隊が町へ戻った。薬、針、乾燥果実が市場に並び、住民の買い物が増えたため、低い税率でも門の収入は以前より多くなった。
ヤスミンが風除け布を注文すると、最初に布を持ってきたのは大商隊の主だった。
「三十六枚きっちり払った。だから三十六枚が何になったか見に来た」
「布代は三十枚です。残り六枚は水槽の栓へ」
「ならこの布は寄付だ。次の三十枚を水槽に回せ」
小商人たちは杭を打ち、町の商人は冷茶を配った。命令されて門を飾るのではない。自分たちが通りたい門を、自分たちで開けておきたかった。
完成した風除け布には、大小さまざまな商隊の印が縫い込まれた。
老女の三頭のロバが最初にその下をくぐる。銀貨二十枚ではなく銅貨三枚が、明るい音を立てて箱へ落ちた。
布の中央には、新しい町の言葉が揺れていた。
『大きさを数え、道を閉ざさない。』
向こうから、今度は五頭の書商が砂煙を上げて近づいてきた。