花嫁側の欠席

結婚式が近づくほど、友人が減った。

欠席の通知が届くたび、慶介は私より悲しそうな顔をし、通知画面だけを素早く閉じた。

そのあと必ず、二人だけの式でも幸せだと言った。

余興を頼んだ友人は「そんな言い方をされると思わなかった」と辞退し、受付を任せた従姉も連絡を絶った。私には覚えがない。きっと結婚する私が羨ましいのだ。

慶介は「比奈子は準備に集中して」と、式場との連絡も友人への返信も引き受けた。私のスマートフォンの暗証番号を聞かれた時も、招待状アプリを操作するためだと思った。

ただ、彼が見せるやり取りの画面は、いつも端が切れていた。もう一つ、私が送っていないはずの返信を尋ねると、「疲れて覚えてないんだよ」と先に頭痛薬を差し出した。

優しくされるほど、自分の記憶を疑った。

友人へ直接電話しようとすると、慶介は「今さら言い訳したら余計に嫌われる」と止めた。謝罪文も彼が考え、私は確認しないまま送った。返事が来ないたび、彼は私を抱きしめて「本当に君を祝えるのは僕だけだ」と言った。欠席者が増えるほど、新郎側の席を広げればいいと楽しそうに会場図を塗り替えた。

式の二週間前、欠席が十人を超えた。

私が理由を聞こうとするたび、慶介は「これ以上傷つかなくていい」と電話を取り上げた。私のための親切だから、奪われているとは思わなかった。慶介の端末で人数表を確認すると、私のアカウントが開いたままだった。アーカイブされた会話には、友人たちへ送った文章が残っていた。

〈独身の人に余興は重いかな〉

〈受付くらい、まともな服で来てね〉

〈家族席には近づかないで〉

どれも私の口調に似ていた。過去のメッセージから言葉を拾えば、私が書いたように見える。

「私を一人にしたかったの?」

慶介は微笑み、「結婚したら友達なんて必要ない」と答えた。私が泣くと、彼はいつものように薬と水を差し出した。

その夜、私は暗証番号を変えた。

しかし予約送信一覧には、式の翌朝、母へ送られる最後の文が残っていた。

〈もう家族ではありません。二度と連絡しないで〉