七つの味噌玉

細川絹香が一日だけ自宅へ帰って作るのは、七つの味噌玉だった。

同居人は朝食を抜く。絹香がいる時は味噌汁を飲んだが、一人になると湯を沸かすことさえ面倒だと言う。鍋で作り置きすると、三日目には忘れる。味噌玉なら椀へ入れ、湯を注ぐだけでいい。

病院の栄養士に相談すると、塩分の話をされた。絹香が食べるためではないと説明し、乾燥わかめと麩を使うことにした。外出許可は午後五時まで。材料は同居人が買っておいた。

台所のテーブルへ、味噌、顆粒だし、わかめ、小ねぎ、花形の麩を並べる。絹香は計量スプーンで味噌を一杯ずつ取った。七個を同じ大きさにするつもりが、最初だけ大きくなった。削って七個目へ足す。

同居人はソファで仕事をしながら、「そんなにきっちりしなくても」と言った。

「湯の量が分からなくなるから」

「毎回適当に入れるよ」

「それなら、味噌のほうをそろえる」

会話はそこで終わった。絹香はだしを混ぜ、手袋をした指で丸めた。柔らかすぎて球にならず、平たい円盤になる。ラップへ置けば形はどうでもよかった。

具は一個ずつ変えようかと思ったが、探して選ぶのが面倒になる。七個全部、わかめとねぎにした。花麩だけ色を変え、月曜は赤、火曜は黄、と曜日の目印にする。木曜の紫が見つからず、緑を二日続けた。

ラップをねじり、油性ペンで曜日を書く。字が滲み、「水」が「氷」に見えた。書き直さず、上から丸をつけた。同居人なら分かる。

冷凍庫の一段目には、アイスと保冷剤が詰まっていた。絹香は保冷剤を下段へ移し、平たい容器を一つ空ける。味噌玉を二列に並べると、日曜だけ端へはみ出した。順番を詰め、月曜を左上へ置き直す。

同居人が台所へ来て、赤い花麩の包みを指した。

「明日、月曜じゃないけど」

「好きな日からでいい」

絹香は透明な蓋をかぶせた。日曜の包みが少し高く、蓋が浮く。指で形を平らにし、もう一度押す。

四隅が容器にはまり、七つの味噌玉が冷凍庫の一段目へ収まった。