二つの空を縫う

鏡堂文那は、二つの仮想世界を統合する通訳だった。

赤い太陽を神と呼ぶ砂漠世界と、夜しかない氷雪世界。両方のサーバーが停止するため、限られた資源で一つにまとめることになった。

統合初日、空の色だけで暴動が起きた。砂漠の民は夜を死の兆しと恐れ、雪の民は太陽を災厄と呼んだ。文那は双方の言葉を話せたが、訳すたび憎しみまで正確に運んでしまった。

運営は一方の文化を削除するよう命じた。多数派は砂漠世界。夜空、雪の祭り、氷の名前二百種類を消せば安定する。

文那の母は砂漠の出身、父は雪の出身だった。幼い頃、二人は空の話で喧嘩し、結局別れた。文那はどちらの世界でも「半分」と呼ばれて育った。

父は雪語で彼女を呼び、母は砂漠語で叱った。どちらか一方だけを選べと言われるたび、文那は自分の半身を削除するように感じていた。今回の統合は、世界規模で同じ命令を突きつけていた。

停止まで四日。彼女は翻訳端末を外し、両世界の代表を境界へ連れていった。そこでは赤い昼と青い夜が画面の継ぎ目でぶつかっていた。

「統合すると、どちらかが偽物になります」と文那は言った。「だから、どちらも一日の半分だけ本物にします」

提案は反発された。砂漠の祈りは昼にしかできず、雪の民の身体は光に弱い。文那は生活時間、建築、祭礼を全て組み替える設計を示した。完璧な共存ではない。不便と誤解が残る。

それでも、世界ごと消えるよりはと合意が成立した。

新世界で最初の日没が起きた。砂漠の民は泣き、雪の民は歓声を上げた。十二時間後、初めての夜明けに反応は逆になった。

文那は境界の町に通訳所を開いた。客は絶えず、毎日どちらかから裏切り者と呼ばれた。

ある日、子どもが「夕暮れ」を何と訳すか尋ねた。砂漠語にも雪語にも、同じ意味の言葉はない。

文那は新しい言葉を作った。二つの言語を半分ずつ縫い合わせた、不格好な音だった。

子どもたちは面白がって使い始めた。

文那は初めて、半分であることを欠落ではなく、まだ名前のない時間を見つけるための目だと思えた。