体育館倉庫の拍手

最後の大会で、親友が決勝点を決めた。

残り二秒。体育館中が立ち上がった。

私はベンチ外で、タオルと飲み物を持っていた。

私たちが同じように好きな人は、チームのマネージャーだった。

ブザーが鳴る。

勝った。

選手たちがコート中央へ集まり、親友を抱き上げた。

マネージャーも走っていく。

親友の首へタオルをかけ、そのまま抱きしめた。

ほんの一瞬だった。

でも、親友の腕も相手の背中へ回った。

私は手に持っていたタオルを落とした。

歓声の中で、誰にも気づかれなかった。

同じ人を好きだと親友へ話したのは、昨日だった。

「大会が終わるまで、どっちも告白しない」

そう約束した。

けれど、告白より先に答えが見えた。

私は体育館倉庫へ入り、扉を閉めた。

外から歓声と拍手が聞こえる。

私は一人で手をたたいた。

親友が決めた得点。三年間の練習。最後の大会の勝利。

祝いたいことは本物だった。

涙も本物だった。

拍手を続けると、手のひらが痛くなった。

しばらくして扉が開いた。

親友が立っていた。

「何してるの」

「予備のタオル」

「落ちてたよ」

親友は私が落としたタオルを持っていた。

目が合う。

親友の笑顔が消えた。

「見た?」

私はうなずいた。

「ごめん」

「まだ告白してないでしょ」

「でも、好きって言われた」

胸の奥で何かが沈んだ。

「さっき?」

「試合前」

「約束は?」

「答えは大会後にするって言った」

親友は泣き始めた。

「勝ったのに、うれしいのに、あなたに言うのが怖かった」

私はタオルを受け取り、親友の汗を拭くように顔へ押しつけた。

「泣くの、こっちだから」

「じゃあ一緒に」

二人で倉庫の床へ座った。

外では表彰式の準備が始まっていた。

「返事、するの?」

私が聞く。

親友はうなずいた。

「好きだから」

「そっか」

それ以上、格好いいことは言えなかった。

親友が表彰式へ戻ると、私は少し遅れて体育館へ出た。

名前を呼ばれ、親友が賞状を受け取る。

マネージャーはコート脇で誰より大きく拍手していた。

私はその隣までは行けなかった。

観客席の端で、もう一度手をたたいた。

今度は一人ではなかった。

周囲の拍手に混ざりながら、涙が乾くまで続けた。