余った魔力の行方
ゼフィドは、仲間の魔力を捨てていた。
魔術師の杖が熱を持つと石へ流し、治癒師の祈りが強すぎると地面へ逃がす。せっかく集めた力を減らすため、誰も彼を好きではなかった。
攻撃へ使わない魔力調整の貢献は2%。隊長ファルガは、光る石の山を見て怒った。
「力を無駄にする者がいるから、俺たちは大術を撃てない」
ゼフィドは調整具を奪われ、石を持って隊を去った。
次の遺跡で、魔術師たちは全力を解放した。杖は眩しく輝き、壁の守護像を次々砕く。ファルガは、これが本来の力だと笑った。
やがて杖の光が消えなくなった。
余った魔力が術者の腕へ逆流し、治癒の光は傷ではなく血を増やす。火球は放つ前から膨らみ、誰も止められない。遺跡全体が、爆発寸前の杖のように震えた。
外で捨て石を埋めていたゼフィドは、地面を走る光を見た。彼が持ち出した石は、無駄ではない。余剰魔力を静かに眠らせる器だった。
彼は石を回廊へ並べ、暴れる光へ道を作った。魔力は仲間の身体から抜け、石へ流れ、淡い灯りに変わる。大術を放つより地味な作業で、遺跡も仲間も爆発せずに済んだ。
淡く光る石を見て、魔術師たちは過去の遠征を思い返した。杖が熱を持たず、頭痛もなく、何度でも術を使えた日々。それを自分たちの才能だと思っていた。ゼフィドは力を奪っていたのではない。壊れず使い続けられる量へ整えていたのだ。石の淡い光は、捨てられた力ではなく、守られた仲間の証だった。
ファルガは、もっと早く調整しなかった責任をゼフィドへ押しつけた。
「調整具を奪ったのは誰ですか」
その問いへ答える前に、魔力腕輪が過去の出力を開いた。術者が壊れなかった日、杖が焼けなかった戦い、遺跡が崩れなかった撤退。余った力を消す働きが、勝利の土台だった。
ファルガの杖へ制限紋が巻きつき、ゼフィドの石へ指揮紋が灯る。
《魔力運用貢献・真正算定》
申告値:2% → 真値:95%
働き順位:首位 ゼフィド
役割更新:魔力捨て係 → 出力統制官
旧隊長ファルガ:魔力使用制限