月門に並ぶ灯

街道町イリュンの西門は、日が落ちると閉ざされた。外には旅人用の野営地があったが、盗賊が出るため誰も火を消して眠れない。門を開けておけば町が危険になる。宿へ入れない貧しい旅人だけが狙われていた。

夜門番シキは、町を広げる大壁ではなく、西門から野営地まで半円の防壁と灯台列を造ると提案した。門は閉めたままでも、壁の内側なら朝まで守れる。

費用は野営地を使う大人一人につき銅貨一枚。子ども、護送依頼を受けた商隊の御者、町へ荷を納めた農民は無料。集めた金は半分を灯油、半分を夜番賃金へ固定し、壁の建設費は街道商人組合が売上の千分の五を百日だけ負担する。毎夜、門の外側にも会計札を出す。

宿屋の主人ムイが反対した。

「安全な野営地ができれば、安宿の客が減る」

シキは答えた。

「銅貨一枚しか持たない人は、今もあなたの客ではありません。死ねば、明日の客にもなれない」

ムイは黙り、翌日には古い寝台板を壁の足場へ出した。商人は百日で税が終わることを確かめ、石を運ぶ荷車を貸した。旅人たちも銅貨を払うだけでなく、次の町へ向かう前に一刻ずつ土を突き固めた。

半円壁には、荷を置ける窪みと、雨を避ける小屋根を同じ数だけ設けた。先着の商隊が全部占めないよう、一人一区画、夜半を過ぎても空いていれば追加使用可と札にした。銅貨を払えない者は夜番補助を一刻すればよい。最初にそれを選んだ老旅人は、灯油の残りを測る役を引き受け、『金がない夜ほど、明るさが要る』と笑った。

完成初夜、盗賊が遠巻きに野営地を回った。半円壁には死角がなく、灯台の火が隣の火へ届いている。門上の見張りと野営地の番人は鏡で合図し、盗賊は近づけないまま去った。

旅人たちは武器を抱かずに眠った。夜明け前、シキは月形の門標へ最後の灯を置く。

札には料金と、その行き先が同じ大きさで書かれていた。

――一枚は灯へ、一枚は見張る人へ。

西門が開くと、半円に並んだ灯の間から最初の隊商が無傷で町へ入った。