校庭の落とし穴
先生が掘らせた穴で、私は足を折った。
学校公開日の朝、校庭の隅に深い穴が残されていた。理科教師が土壌観察のため生徒へ掘らせ、埋め戻さなかったのだ。私は通りかかって落ち、右足を骨折した。
病室で教育委員会の聞き取りを受け、私は教師の責任を訴えた。以前から目をつけられ、授業中にも「嘘をつくな」と皆の前で叱られていた。事故ではなく、私が通る場所にわざと残したのかもしれない。母は隣で泣き、治療費だけでなく慰謝料も必要だと言った。
靴は片方だけ穴の底にあった。普段より二センチ大きいサイズだったが、成長を見越して買ったものだ。靴底には学校の備品庫で使う白い石灰が付き、紐は足に合わないほど固く結ばれていた。落ちた衝撃で締まったのだと私は言った。爪の間に赤い粘土が詰まっているのは、落ちた際に壁を掴んだからだと話した。
教師は埋め戻した深さを確認するため、土の中へ番号付きの白い小石を三層に分けて入れていた。事故後は順番が逆になっていた。
教師は穴を前日の夕方に埋め、青い防水シートまで掛けたと主張した。雨の予報はなかったのにシートを使った理由は、誰かが掘り返せば分かるよう、土の表面を守るためだったという。
聞き取りの途中、同級生から預かったという封筒が開かれた。中には私が渡した呼び出し状と、穴の位置を示す地図が入っていた。私は偽物だと叫んだ。
校庭の定点カメラが提出された。夜明け前、私は大きな靴を履いて校門脇から入る。シートを外し、赤い粘土を掘り、穴の上に薄い板と砂を載せた。
その後、いつも私を注意していた同級生の机へ「校庭裏に来い」と紙を入れている。大きな靴は、足跡を上級生のものに見せるためだった。
だが同級生は紙を教師へ届けた。教師が確認に来る前、板の位置を直そうとした私自身が踏み抜いた。
教師が掘らせた穴で被害に遭ったのではない。
埋められた穴を掘り返し、別の生徒を落とそうとして、自分の罠に落ちた。
教師の「嘘をつくな」は嫌がらせではなく、何度も同級生へ濡れ衣を着せていた私への警告だった。