銀鉱石は軽くならない

鉱山王国との交易祝宴で、ヴォルフラム王子は銀鉱石の塊を卓上へ落とした。

「鉱山税を三割横領した。採掘量を管理したマグダレーナが、銀を少なく申告し差額を隠したのだ。婚約を破棄する」

帳簿上の採掘量は七百樽。王子は、本来なら千樽あったと主張した。

マグダレーナは落盤事故の後、採掘速度を落とし、坑木の交換日を増やした。収益が下がったと責められても、死者の数で利益を測るつもりはなかった。その判断をヴォルフラムは「生産量を隠す口実」と呼び、鉱夫たちの沈黙まで彼女への疑いに利用した。

宴席の壁には銀皿が並び、坑道の煤を知る者はほとんどいない。だからこそ彼女は、感情ではなく石の重さに語らせるしかなかった。

マグダレーナは銀鉱石に触れた。冷たい表面は、宴席のどの顔より正直だった。

「この石を、千樽採れた坑道の標本として提出なさるのですね」

「王家の採掘印がある。疑いようはない」

鉱山王ミスリオンが、腰の黒い測定石を取り出した。《母岩秤》は一つの坑道から最初に切り出した標本に当てると、その年に運び出された総重量を一度だけ示す。

黒石と銀鉱石が触れ、白い数字が空中へ刻まれた。

――採掘量、七百樽。

――申告量、七百樽。

――追加課税命令者、ヴォルフラム・ケルツ。

存在しない三百樽分の税を作り、未納分をマグダレーナの横領にしようとしたのだ。

「将来の増産分を見込んだだけだ」と王子は言った。「婚約破棄は撤回する。お前が鉱夫を働かせれば数字は合う」

マグダレーナの目が鋭くなった。

「石は鞭で重くなりません。人も同じです」

彼女は婚約指輪を銀鉱石の上へ置いた。金属同士の硬い音が響く。

「あなたの不足分を、鉱夫の骨で埋めるつもりはございません」

背を向けると、ミスリオンが坑道へ続く鉄扉の前で手を差し出していた。労働時間を短くしながら採掘法を改める計画へ、共同責任者として招く手だった。

マグダレーナは軽くならない石を残し、重さを分け合うその手を取った。