三人で帰った最後の日
二人が付き合い始めた翌日も、三人で帰った。
いつものように校門を出て、コンビニへ寄り、信号を二つ渡った。
違うのは、親友と好きだった人の歩幅がそろっていることだった。
二人はまだ手をつながない。私に気を使っているのが分かった。
それが一番つらかった。
「昨日、ごめん」
親友が何度目かの謝罪をした。
「謝らないでって言ったでしょ」
「でも」
「二人とも、普通にして」
好きだった人は困った顔をした。
普通とは何か、誰にも分からなかった。
コンビニで、私はいつも三人で分ける大袋のお菓子を買わなかった。
親友は気づいたが、何も言わなかった。
駅へ向かう途中、三方向へ分かれる交差点がある。
私はいつも二人と同じ右へ曲がり、次の角で別れる。
その日は左へ向かった。
「そっち、家と逆じゃない?」
好きだった人が聞いた。
「文房具屋に寄る」
「閉まってるよ、今日」
親友は知っていた。
「別の店」
苦しい言い訳だった。
信号が青になる。
私は手を振った。
「また明日」
二人は動かなかった。
「一人で帰りたいなら、そう言って」
親友が言った。
優しい声だった。
涙が出そうになった。
「一人で帰りたい」
ようやく言えた。
親友はうなずいた。
「分かった」
好きだった人も、「また明日」と返した。
二人が右へ、私が左へ歩く。
背中を向けた瞬間、涙が落ちた。
学校から遠ざかるほど、我慢できなくなった。
人気のない公園の前で立ち止まり、声を出して泣いた。
好きだった。
親友も好きだった。
二人が幸せならいいと思った。
それなのに、自分だけ置いていかれたようで悔しかった。
スマートフォンが震えた。
親友からだった。
『今日は追わない。明日は隣の席、空けておく』
次に、好きだった人から。
『三人で帰るのがつらいなら、しばらく別にする。勝手に遠慮してごめん』
私は返信できなかった。
翌朝、教室へ入ると、親友の隣の席に鞄が置かれていなかった。
いつも私が座るための場所。
私はそこへ座った。
親友は何も聞かず、昨日買えなかった大袋のお菓子を机の下から出した。
「朝から?」
「三人分じゃない。今日は二人分」
私は笑って、また少し泣いた。
放課後、二人は先に帰った。
私は別の友達と残った。
三人で帰った最後の日は、友情の最後の日ではなかった。
ただ、同じ道を同じ形で歩けなくなった日だった。
道を変えなければ守れないものもあると、交差点で初めて知った。