五人だけの忘年会

十二年続いた仲良し六人組の忘年会に、私は呼ばれなかった。

店も日時も教えられていないのに、仕事帰りに偶然、窓の向こうの五人を見つけた。十二月の金曜に、五人が同時に残業を断る確率は低い。けれど親友なら、偶然が重なる場所くらい分かる。

私は毎年、座席表を作る。気まずい二人は離し、飲みすぎる采佳は出口から遠ざける。注文の上限、話してよい恋愛、触れてはいけない年収もカードにして席へ置いた。私が整えなければ、誰かが傷ついて会が壊れる。今年の卓にも、私なら選ぶ位置に一脚だけ空席があった。やはり直前まで、私を待っていたのだ。

もう一つ妙なのは、五人が同じ白い封筒を持っていたことだ。寄せ書きか、遅れてきた私への謝罪に違いない。だが封筒の口はすべて外側へ向き、スマートフォンはテーブル中央で録音画面を開いていた。

店へ入ると、誰も笑わなかった。

「どうして、ここが分かったの」

采佳の質問に、私は偶然だと繰り返した。共有カレンダーから予定が消えても、皆の行動はだいたい分かる。去年も、場所を変えた女子会へ迎えに行って驚かせた。誰も教えなかったが、弥和のコートにつけた紛失防止タグが役に立った。帰りが遅い友人を迎えに行くのは、責められるようなことではない。

五人は封筒を一つずつ机へ置いた。

中身は、私が送ったメッセージ、勤務先で待った日時、交際相手へ連絡した記録だった。全員が別々に「もう会わない」と伝えたのに、私は喧嘩だと思って予定を入れ直していた。勤務先へ花を送り、家族へ仲直りの仲介を頼み、削除されたグループ名を何度も作り直した。十二年を一言で終わらせるほうが暴力だ。

「六人組は、もうないの」

今日は忘年会ではなく、五人が同時に意思を伝え、店の防犯映像へ残すための席だった。空席は私のためではなく、相談員が来る予定だったという。

五人は封筒を残し、別々の出口から帰った。

私は一脚ずつ確かめ、采佳が座っていた椅子の下へ手を伸ばした。

貼りつけたスマートタグが、《持ち主の近くです》と小さく震えた。