呪いの墓場
最後の子どもが祭壇へ運ばれたとき、サーヴァの左腕には十一の呪印があった。
熱、盲目、悪夢、石化、飢え。村人から斬り離した呪いが、黒い文字となって皮膚を這っている。
彼の剣《墓守》は呪いを断てる。ただし呪いを消すことはできない。斬られた災いはすべて、剣を振るった者の身体を新しい宿にする。剣身は墓ではなく、墓へ運ぶための鋤にすぎない。埋められるのはいつも、握った人間の方だった。
「この子で最後です」
神官が言った。
寝かされた少女の胸には、十二番目の印がある。夜明けになれば村中へ広がり、生きた者を互いの亡者に見せる呪いだ。
サーヴァは少女の胸元へ剣先を置いた。
左腕の印が疼く。視界の半分はすでに暗く、喉には他人の飢えが棲み、眠れば十一人分の悪夢を見る。それでもまだ、自分の名を思い出せた。
「斬れば、あなたが広げる側になる」
神官は低く言った。
十二の呪いが一つの器へ集まれば、器そのものが災厄になる。だから《墓守》の歴代の使い手は、最後には剣ごと地下へ封じられた。
少女が目を開けた。
「おじさん、こわい?」
サーヴァは少し考えた。恐怖の印が腕にあるせいで、自分の恐れと他人の恐れを区別できない。
「怖いとも。だから、お前は怖がらなくていい」
剣を引く。
胸の印が細い糸になり、刃へ絡みついた。サーヴァはそれを断つ。
少女の肌が元の色へ戻る。
同時に、十二番目の文字が彼の首から顔へ駆け上がった。祭壇の灯が一斉に消え、神官たちの目には、隣に立つ者が腐った亡者として映り始める。
悲鳴が上がる。
「地下を開けろ!」
サーヴァは剣を床へ置き、自分から石棺へ入った。神官たちが蓋を押す。少女だけが泣きながら彼の名を呼んでいた。
石が閉じる直前、サーヴァは自分の手を見た。
皮膚は文字で埋まり、指の数さえ呪いごとに違って見える。胸の中では十二の声が、彼の名を別々の発音で食べていた。
翌朝、村の墓碑から彼の名は削られた。
代わりに地下封印の扉へ、誰が刻んだともなく一語が浮かんだ。
――ここに、災厄を葬る。
剣ではなく、サーヴァだったものを。