封印番号が違う夜

午前零時、須釜壮介は中継センターから北の拠点へ大型車を出す予定だった。荷台は積み込み済みで、扉には金属封印が掛かっている。出発締切まで五分だった。

壮介は運行指示書の封印番号と実物を照合し、数字が一桁違うことに気づいた。配車担当は端末を見て言った。

「入力ミスだろう。重量も合ってる。先に出て、到着側で確認して」

遅れればデジタコに記録が残り、翌朝の配達網までずれる。

壮介はエンジンを切った。封印の違いだけなら入力ミスかもしれない。だが荷台の右後ろが、わずかに低い。運転席でもらった重量票は合計しか示さず、左右の偏りまでは分からない。別便の重い荷物が混じった可能性がある。

責任者を呼び、封印を切る手続きを取った。扉を開けると、北行きの雑貨の奥に、東の医療倉庫へ送る輸液のパレットが二台あった。外箱の大きさが同じで、積み込み口を一つ間違えたのだ。重量が一致したのは、北行きの家電パレットが逆に東便へ載ったからだった。

「そのまま走っても事故にはならなかった」

配車担当がつぶやく。

壮介はパレットの固定帯を見た。

「右へ寄ったまま高速のカーブへ入れば、事故にならない保証はありません。それに朝、病院へ家電が届きます」

二台を入れ替え、左右の高さをそろえ、新しい封印を掛ける。番号は責任者と声に出して確認した。出発は二十三分遅れたが、到着側には積み替え前に連絡が入り、後続の仕分け順が変更された。

料金所を抜けたところで、デジタコの休憩予定が点滅した。遅れを取り戻すために休憩を削れば、今度は運転手が危険になる。壮介は予定どおりサービスエリアへ入った。

壮介は休憩中にも到着予定を短縮して送らなかった。積み替えで遅れた事実は、運転で取り戻すものではない。到着側は人員を二十分後ろへずらし、荷降ろし口を空けた。一本の電話で待機する人数は減らせるが、眠気を一本の線で消すことはできない。

缶コーヒーを開ける前に、配車から次の運行指示書が届いた。北から戻る荷物は、朝採れの野菜だという。封印番号はまだ空欄だった。壮介は二十分後の出発時刻を設定し、眠気より先に、その空欄を確認する担当者の名を書き込んだ。