明日も授業があります

辺境領セレネの学校は、教師が替わるたびに閉じた。

領主が気まぐれに雇い、金が足りなくなれば給金を止める。村人が善意で教えても、畑の繁忙期には続かない。子どもは新しい文字を覚えるたび、次の月には教室の扉が閉まっていた。

若い領主アルノーは、立派な校舎を建てなかった。まず、明日も教師が来られる仕組みを作った。

各世帯の生活費と種籾を除いた年間利益、その百分の二を学校基金へ入れる。赤字の家はゼロ。商会も領主農園も同率。徴収額、半年分の教師給、修繕積立、余剰金を三か月ごとに公開し、使い道は親、職人、教師から一人ずつ選ばれた三人が決める。領主一人では引き出せない箱にした。

「学校は領主の慈悲で十分では」と家令が言った。

アルノーは、教室の最前列にある豪華な領主席を運び出した。

「慈悲は、領主が飽きれば終わる。これは村の約束にする」

最初の年、基金はぎりぎりだった。農民は現金の代わりに薪を売って納付し、鍛冶屋は扉を正規の価格より安く直したのではなく、差額を寄付として帳簿に明記した。宿屋は教師の部屋を一年契約で貸し、母親たちは掃除当番を自分たちで組んだ。誰も無償の義務にされなかったから、できない月には断ることもできた。

冬、領主館の屋根が嵐で壊れた。家令は学校基金を一時借用しようとした。

アルノーは三つ鍵の箱を前に首を振った。

「ここに私の金は一枚もない。子どもたちの明日だ」

領主館は小さな客間を閉じて修理費を作った。学校の給金は予定日に全額支払われた。

教師の採用もアルノー一人では決めなかった。候補者は公開授業を行い、子どもの質問を遮らなかった者が選ばれた。契約には給金だけでなく、領主の都合で歴史を書き換えさせない条項も入った。学校は金だけでなく、教える内容まで共同体のものになった。

雪の朝、教師が扉を開けると、子どもたちはもう席に座っていた。去年までなら休校を疑う天気だった。最年少の子が外へ走り、前夜に父と作った板を軒へ掛ける。

白い雪の中、その黒い文字だけが遠くからも読めた。

『明日も授業があります』