面会簿の二行

面会簿には、妹と弁護士の署名が一行ずつ並んでいた。

拘置中の詐欺師を訪ねる妹は、淡い色の服で毎週火曜に来た。弁護士は濃い背広で金曜に来る。妹は面会室のガラスを指輪で四回叩き、弁護士は書類を揃える前に万年筆で机を四回叩いた。二人とも必要以上に言葉を交わさなかった。

保安官が不審に思ったのは、妹の署名も弁護士の署名も、「心」の最後の点だけ極端に薄いことだった。筆跡は異なるが、筆圧の抜き方が同じだった。さらに、面会後の椅子には同じ月桂樹の香りが残った。

詐欺師は外部の仲間と暗号をやり取りしている疑いがあった。妹の四回は家族の合図、弁護士の四回は守秘義務のある相談と扱われ、どちらも止められない。二人が交互に訪れるたび、被害者の口座から金が消えた。

妹はいつも泣いて目元を赤くし、弁護士は縁の太い眼鏡で同じ場所を隠した。受付係は、二人とも身分確認の写真を撮る際、右側からの照明を嫌がったと証言した。右のこめかみにある小さな痣を、影と化粧で消していたのだ。

面会室の録音を重ねると、妹の鼻をすする音と弁護士の紙をめくる音の直前に、同じ歯を鳴らす癖があった。声も言葉も変えられるが、話し始める前の無意識までは着替えられない。

私は金曜、弁護士の身分証を機械で読み取った。登録番号は本物だったが、顔写真だけが最近差し替えられている。火曜の面会映像と重ねると、鼻や顎は化粧で変わっていても、右目の瞬きがわずかに遅れる癖が一致した。

次の面会後、私は弁護士を別室へ案内した。背広の裏から妹の服と指輪が出てきた。鬘を外すと、火曜に泣いていた妹の顔になる。実際の弁護士は数か月前に資格を停止され、その番号を買われていた。

「妹はどこです」と詐欺師はガラス越しに叫んだ。

彼女は弁護士の低い声で答えた。

「金曜まで来ません」

私は面会簿の二行へ一本の線を引いた。

火曜に家族として暗号を渡した妹と、金曜に法律家として回収した弁護士は二人ではない。二行の署名は、一人が着替えるために空けた三日間を挟んでいただけだった。