海は太鼓にひらかない

――王立古文書院所蔵『青錫太鼓内面刻文』および六つの異本による――

【編者の注意】

 以下の物語には、同じ日の同じ太陽が、七度ちがう場所から昇る。

 したがって、どの証言も信用してはならない。

 とりわけ太鼓叩きヌニェムの証言は信用してはならない。彼は自分が二十二歳であったとも、十二歳であったとも、すでに百歳を越えていたとも書いている。また、聖灰騎士ガスパルは正気であったとも、狂人であったとも伝えられる。

 ただし、この二人が互いを愛したという点だけは、すべての異本が不思議なほど一致している。

一 太鼓叩きヌニェムの証言

 僕は十三歳の春に成長をやめた。

 これは比喩ではない。僕の背丈はそこで止まり、頬には髭が生えず、酒場へ入れば皿洗いの小僧と間違えられた。けれども暦の上では、その後も夏が九回来た。つまり、あの巡礼が始まった年、僕は二十二歳だった。

 大人たちは、僕を子供だと思うと本音をしゃべった。

 司祭は寄付箱から銀貨を抜き、商人は小麦に石粉を混ぜ、兵士は明日の戦争を嫌いながら今日の弱者を蹴った。僕はそういう嘘を聞くたび、青い錫の太鼓を叩いた。

 どん、どん、どどん。

 太鼓は嘘を止めない。だが、嘘に拍子をつける。すると嘘は行進曲になり、威厳を失う。

 その朝、サン・ルーメン広場には三百人の子供が集まっていた。父なし、母なし、家なし、あるいは家はあるが夕食だけがない者たちである。彼らは緑の布切れを棒に結び、海の向こうの聖島アウレリアへ行くのだと言った。

 聖島には、戦争でさらわれた天使たちが鉄の籠に閉じ込められている。罪のない者が百人、岬で祈れば海は二つに割れ、白い道が現れる。その道を渡って天使を解放すれば、王国の飢饉は終わる――。

 誰が最初に言い出したのか、誰も知らなかった。

 だが、パン屋は固いパンを一つずつ与え、町役人は城門を開き、親たちは泣きながら子供の背を押した。食べさせられない口が、自分から聖人になって出ていく。これほど都合のよい奇跡はない。

 僕は太鼓を叩きながら列へ近づいた。九年前に消えた弟の名を、最後尾の顔の中から探すためだった。

 すると司祭が僕の襟をつかんだ。

「おまえも行け、ちび。神が海を開いてくださる」

「僕は二十二だ」

「嘘をつくな」

「あなたより九つ若いだけだ。寄付箱の底に昨日の銀貨が三枚残っていることも知ってる」

 司祭の手が振り上がった。

 その手を、錆びた籠手が受け止めた。

「成人の紳士を子供扱いするとは、聖職者にあるまじき無礼ですな」

 籠手の持ち主は、痩せた栗毛の馬にまたがっていた。馬よりも騎手のほうが痩せており、甲冑は七人の死人から一片ずつ借りたように継ぎはぎだった。兜には羽根の代わりに焦げた麦の穂が挿してある。

「我が名はガスパル・デ・ロハス。聖灰騎士にして、武器なき軍勢の守護者」

「武器なら腰に剣がある」

「これは剣ではない。長すぎる食事用ナイフです」

 僕はそのとき初めて笑った。

 笑った拍子に、太鼓の撥を一本落とした。ガスパルは馬上から身をかがめ、それを拾って差し出した。

「失礼。あなたのお名前は?」

「テオ・バルタサル」

「では、ヌニェム殿。私の書記官になりませんか」

「字は書けるのか」

「読めません」

「騎士物語は?」

「挿絵だけで十分です」

 僕は彼を狂人だと判断した。

 そして、狂人のそばは、正気の大人たちのそばより安全だと判断した。

 こうして僕たちは、海へ向かう子供たちの後を追った。

二 聖灰騎士ガスパルの口述

 私が騎士になったのは、二十七歳の誕生日の翌朝である。

 その前夜まで、私はロハス男爵家の三男で、賭け事と決闘と徴税の手伝い以外に能のない人間だった。村が飢えていても、父は年貢を一粒多く集めた者を褒めた。兄たちは戦で武勲を立て、私は負傷兵の靴を脱がせて売った。

 ある日、焼けた村で、灰の中から木馬を見つけた。

 片脚が焦げ、首が折れていた。持ち主は見つからなかった。

 私はその木馬を拾い、初めて、自分のしてきたことが勇ましくも賢くもなく、ただ卑しいのだと知った。

 だが、人間は一晩で善人にはなれない。そこで私は、せめて騎士になることにした。

 騎士ならば、弱者を守らなければならない。たとえ本物の騎士が誰一人そうしていなくても、物語にはそう書いてある。物語が現実より立派なら、現実のほうを物語に近づければよい。

 海が開くという噂は信じていなかった。

 ただし、子供たちが危険へ向かっていることは信じた。

 ヌニェムは、初対面から私の兜を「穴の開いた鍋」と呼んだ。正確な指摘だった。彼は背が低く、声が高く、怒ると頬が赤くなったが、子供ではない。あれほど疲れた目をした子供がいてたまるものか。

 夜、野営地で私は彼に尋ねた。

「弟さんは、どんな方でした」

「僕より背が高かった。十一歳のくせに」

「名は?」

「ミロ」

「見つけましょう」

「九年も前だ」

「では九年ぶん探しましょう」

 彼は鼻で笑ったが、その晩から私の鞍袋の中身を盗まなくなった。

 これは愛の始まりではない。

 愛の始まりは、たいてい本人たちが見落とすほど小さい。

 たとえば、冷えた指に手袋を片方だけ貸すこと。

 固いパンの柔らかい部分を黙って譲ること。

 眠っている相手の太鼓が転がらないよう、石で支えておくこと。

 私がそれを愛と知ったのは、ずっと後である。

三 巡礼の少年ソピアの証言

 騎士さまは、なんでも怪物にした。

 徴税人の荷車は「黄金を食う甲虫」だったし、丘の上の古い水車は「四本腕の巨人」だった。街道の関所は「旅人の影を飲む城」で、役人の帳簿は「百枚舌の竜」だった。

 太鼓の人は、いつも言った。

「ただの荷車だ」

「ただの水車だ」

「ただの関所だ」

「ただの帳簿だ」

 すると騎士さまは言った。

「だからこそ恐ろしい。怪物は、怪物の顔をしていないときが一番強い」

 僕たちは笑った。

 笑いながら、徴税人の荷車から小麦袋を一つ盗んだ。騎士さまは黄金を食う甲虫と決闘して車輪を外し、太鼓の人は、どんどこどん、と逃げる合図を叩いた。

 その夜、全員が白いパンを食べた。

 騎士さまと太鼓の人は、よく喧嘩した。

「海は開かない」と太鼓の人が言う。

「開かなければ、扉を探す」と騎士さまが言う。

「扉もなければ?」

「窓を探す」

「窓もなければ?」

「壁を壊す」

「壁が世界じゅうを囲んでいたら?」

「そのときは、あなたと一緒に壁の内側を国と呼び替える」

 太鼓の人は、そういうことを言われるたび怒った。

 でも夜になると、騎士さまのすぐそばで眠った。

 山越えの晩、雨が降った。

 僕は目を覚まして、二人が一枚の外套にくるまっているのを見た。太鼓の人は眠っていた。騎士さまは起きていて、雨が太鼓に当たらないよう、ずっと腕を伸ばしていた。

 僕はあのとき、天使というのは、羽根の生えた子供ではないのかもしれないと思った。

四 太鼓叩きヌニェムの証言、再び

 巡礼の列は、日ごとに長くなった。

 村を出るたび、子供が増えた。大人たちは鐘を鳴らし、聖歌を歌い、僕たちを祝福した。祝福というのは便利な言葉だ。「帰ってくるな」を、神さまの声らしく聞かせられる。

 一方、子供たちは海を信じていた。

 海は青い硝子の扉で、祈れば左右へ開く。向こう岸には砂糖の木があり、天使を一人助けるごとに銀貨が一枚もらえる。死んだ母親にも会える。父親に殴られない家がある。

 僕はそれを否定し続けた。

「海は塩水だ」

「道なんかない」

「天使はいない」

「向こう岸にも大人がいる」

 だが、否定はパンにならない。

 真実は腹を満たさない。

 ある晩、廃修道院で、ガスパルが僕の太鼓を修理した。縁が割れていたので、彼は自分の外套から細長く布を裂き、何重にも巻いた。

「騎士の外套を太鼓に使っていいのか」

「これは元は伯母のカーテンです」

「君のものは、何もかも元は別のものだな」

「人間もそうでしょう。昨日まで卑怯者だったものを、今日は騎士として使っている」

 僕は笑わなかった。

 笑えば、何かが壊れる気がした。

「ガスパル」

「はい」

「海は開かない」

「ええ」

 彼があまり素直に認めたので、僕は腹が立った。

「知ってたのか」

「最初から」

「じゃあ、どうして子供たちに言わない」

「彼らは海へ向かっているのではありません。海の手前にいる誰かが、彼らを呼んでいる」

 彼は鞍袋から、一枚の紙を出した。

 港町ベラスコの商会印が押されていた。途中の関所で、百枚舌の竜から切り取った一枚だった。

 そこには、こう書かれていた。

 ――巡礼児童、一人につき銀貨三枚。

 ――健康な男子は塩鉱へ、女子は紡績所へ。

 ――幼少の者は海上農園へ移送。

 僕の指が震えた。

 九年前、弟ミロが消えたときにも、緑の旗が使われていた。

「騎士なら、どうする」

「港の王を倒します」

「港に王はいない。代官と商人と兵士がいるだけだ」

「ならば、全部まとめて王ということにします」

「百人いるぞ」

「便利ですね。百回勝てる」

 あまりに愚かな返事だった。

 だから僕は、彼の頬を殴った。

 ガスパルは殴り返さなかった。

 代わりに、僕の手を取った。僕の拳は彼の頬骨に当たり、皮が裂けていた。彼は自分の血を気にせず、僕の指の傷を見た。

「痛みますか」

「君よりは」

「私は平気です」

「嘘だ」

「では、太鼓を」

 僕は太鼓を叩かなかった。

 そのとき初めて、彼の嘘に拍子をつけたくないと思った。

 代わりに、僕は彼の口に口づけた。

 それは優しい口づけではなかった。怒りと恐怖と、九年ぶんの後悔を押しつけるような、ひどい口づけだった。

 ガスパルは驚いて固まり、それから壊れ物を抱くように僕の背へ腕を回した。

「ヌニェム」

「言うな」

「何をです」

「愛してるとか」

「まだ言っていません」

「これからも言うな」

「命令ですか」

「書記官からの助言だ」

 彼は少し考えてから、僕の額へ口づけた。

「では別の言葉にします。あなたが生きている世界を、私は見捨てたくない」

 その言葉のほうが、愛しているより悪かった。

 僕は朝まで眠れなかった。

五 ベラスコ司教庁・異端審問予備記録

 緑旗の集団は六月二十三日、港湾区へ到着した。

 総数四百七十六名。うち巡礼児童四百七十四名、成人男性一名、年齢不詳者一名。なお年齢不詳者とは青い太鼓を携えた矮躯の男であり、本人は二十二歳と主張した。

 集団を率いる自称騎士ガスパル・デ・ロハスは、港湾代官を「鐘喰い王」と呼び、埠頭の荷揚げ機を「鉄首の巨人」と呼んだ。彼は神学上、著しく不正確であった。

 ただし、尋問官が巡礼児童の行先を問うたところ、港湾代官側は回答を拒んだ。また、商会倉庫より鎖、焼き印、人数分の木札が発見された事実を付記する。

 夜半、青い太鼓の男と自称騎士が同じ留置房に収容された。見張り兵の証言によれば、二人は牢内で接吻した。

 この行為が異端に当たるかとの照会に対し、当庁は回答を保留する。

 当時、港全体が炎上していたためである。

六 港湾書記マルティンの供述

 私が子供たちに番号札を配ったのは命令だった。

 首から下げる木札だ。男は黒、女は白、幼い者は赤。船に乗せやすくするためだと聞いた。行先は知らなかった。知ろうともしなかった。

 正午、自称騎士が代官府の前へ出てきた。

 馬は途中で逃げたらしく、徒歩だった。兜はへこみ、槍は箒の柄、盾には鍋の煤で太陽が描いてあった。

 彼は大声で言った。

「鐘喰い王よ! 子供たちを解放せよ!」

 代官は窓から笑った。

「鐘喰い王とは誰だ」

「あなたです」

「私は王ではない」

「責任を取らずに人を売る者は、王より悪い」

 兵士たちも笑った。

 私も笑った。

 笑っていれば、私は書記であって共犯者ではないように思えた。

 代官は騎士を鞭で打たせた。

 一度、二度、三度。

 騎士は倒れなかった。

 四度目、青い太鼓が鳴った。

 どん。

 子供たちが顔を上げた。

 どん、どん。

 倉庫の裏で、縄が切られた。山羊が飛び出し、荷車を倒した。

 どどん、どん。

 赤札の幼児を抱いた年長の子たちが、東門へ走った。兵士が追おうとすると、小麦袋が頭上から降ってきた。

 太鼓の男は倉庫屋根に立っていた。

 小さな体に、青い太鼓だけが大きく見えた。彼は狂ったように叩きながら叫んだ。

「海は開かない! だから陸を逃げろ!」

 子供たちは笑った。

 絶望したのではない。海が開かないことを、ようやく大人の失敗ではなく、自分たちの自由として受け取ったのだ。

 兵士が屋根へ登った。

 自称騎士は鞭をつかみ、兵士を引き倒した。それから箒の槍を持って、埠頭の荷揚げ機へ突進した。

「鉄首の巨人よ、勝負!」

 もちろん荷揚げ機は巨人ではない。

 だが、彼が支柱の留め具を剣で叩き切ると、巨大な腕木が回転し、港門の上へ倒れた。石壁が崩れ、東へ抜ける穴が開いた。

 騎士は下敷きになった。

 太鼓の男は屋根から飛び降りた。足をくじいたが、這って騎士のところへ行った。兵士たちが迫った。

 そのとき彼は、青い太鼓を石に叩きつけた。

 一度では割れなかった。

 二度目で胴がひしゃげた。

 三度目で錫板が裂け、鋭い縁ができた。

 彼はそれで騎士を縛る縄を切った。

 私はその光景を見て、初めて番号札を捨てた。

 そして東門を開く綱を引いた。

 だから私は、自分が彼らを助けたと言うつもりはない。

 私はただ、助ける側へ逃げ込んだだけだ。

七 太鼓叩きヌニェムの最後の証言

 ガスパルは重かった。

 痩せているくせに、気絶した騎士は死人ほど重い。僕は彼の腕を肩に回し、引きずった。足首は痛み、背後では倉庫が燃え、前では子供たちが崩れた門を抜けていった。

「起きろ」

 返事はない。

「騎士なら、自分で歩け」

 彼の唇から血が垂れた。

「ガスパル」

 その名を呼ぶと、世界が急に静かになった。

 炎も叫びも消え、僕の手に残った壊れた太鼓だけが、もう鳴らない音を響かせていた。

 僕は、十三歳の春から泣かなかった。

 泣けば大人になると思っていたからだ。

 大人は負けたときに泣き、忘れるときにも泣き、誰かを見捨てたあとでさえ泣いて、自分を許す。

 だから僕は泣かなかった。

 弟がいなくなった日も、母が死んだ日も、太鼓を叩いて済ませた。

 けれど、そのときは泣いた。

 泣きながら、ガスパルの胸を殴った。

「君が死んだら、僕は君を一生笑えないだろ」

 彼が咳をした。

「それは……困りますね」

 目を開けた。

 僕はまた殴った。

「痛い」

「生きてる証拠だ」

「あなたの論理は乱暴だ」

「誰に習ったと思ってる」

 彼は笑い、それから苦しそうに息をした。

「子供たちは?」

「東へ逃げた」

「海は?」

「開かなかった」

「では、負けましたか」

 僕は崩れた門を見た。

 港の外へ、細い街道が伸びていた。裸足の子供たちが、緑の旗を捨てながら走っていた。旗は泥に落ちた。誰も拾わなかった。

「いや」

 僕は答えた。

「海は開かなかった。でも道は開いた」

 ガスパルは満足そうに目を閉じた。

「ヌニェム」

「今度は何だ」

「言わない約束でしたが、死にかけたので一度だけ」

「死なない」

「愛しています」

 僕は彼の襟をつかみ、口づけた。

 血と煤と塩の味がした。

「僕もだ」

「聞こえません」

「僕も、君を愛してる」

「もう一度」

「調子に乗るな」

 彼は笑った。

 その笑い声を聞いて、僕は、自分がもう十三歳ではないと知った。

 成長とは、背が伸びることではなかった。

 誰かが死ぬかもしれない世界を、それでも見捨てずに生きることだった。

 僕たちは東へ向かった。

 ガスパルは途中から僕にもたれすぎて歩けなくなり、逃げ戻ってきた彼の馬に二人で乗った。子供たちはいくつもの村へ散り、ある者は農家に雇われ、ある者は修道院へ入り、ある者は盗賊になった。全員が幸福になったとは書かない。全員が生き延びたとも書かない。

 奇跡は、たいてい人数を数えない者が書く。

 僕は書記官だから、数えた。

 四百七十六人のうち、港を出た者は四百五十一人。

 その年の冬まで生きていたことを確認できた者は三百九十八人。

 九年後、僕は塩鉱の名簿で弟ミロの名を見つけた。死亡欄には、巡礼の翌年の日付があった。

 僕は三日泣いた。

 四日目、ガスパルと一緒に、鉱山跡へ木馬を置いた。

 それで弟が戻るわけではない。

 だが、戻らないもののために場所を作るのも、生き残った者の仕事だ。

【無名の宿帳より】

 東街道の七里石を過ぎたところに、「開かない海」という名の宿があった。

 主人は二人。

 一人は背の高い片脚の男で、客が来るたび騎士の礼をした。

 もう一人は子供のように小柄な男で、代金をごまかす客を見ると、割れた青い太鼓の縁を卓上へ置いた。

 宿代を払えない旅人は、物語を一つ話せば泊めてもらえた。

 家出した徒弟、除隊兵、追放された修道士、男を愛したため町を追われた男、女を愛したため家を追われた女、どちらでもない名を選んだ者――誰でも、東の部屋に空きがあれば眠れた。

 壁には、煤で太陽の描かれた盾と、脚の焦げた木馬が掛けてあった。

 二人は長く一緒に暮らした。

 どちらが先に死んだか、記録によって異なる。

 ただ、宿の裏に残る一枚の墓石には、こう刻まれている。

 ここに二人の少年が眠る。

 ひとりは大人になることを拒み、

 ひとりは大人になってから騎士を夢見た。

 海は彼らのために開かなかった。

 だから彼らは、互いのために扉を作った。