第63話 第六章「炉心区画」前編
八月十七日 午後四時七分
七歩退くには、地面が止まっている方がいい。
赤錆大工場の炉心区画では、地面の方が先に逃げていた。
竜胆迅は幅一・二メートルの搬送足場に立ち、左足を半歩引いた。
足場は鎖で動いている。
彼が退いた分だけ、床が前へ進む。
正面から来た長柄鉤が、喉ではなく肩を狙った。
殺す打撃ではない。
外へ押し返すための角度。
迅は左前腕で鉤の柄を受け、右腕を使わず、身体を半回転させる。踵が鉄板を擦る。床の速度、毎秒〇・六メートル。相手の踏み込み、〇・九。合計一・五。
そのまま受ければ、補装帯の下で骨が鳴る。
迅は受ける場所を変えた。
鉤を自分の肩ではなく、頭上を通る吊り鎖へ滑らせる。
金属同士が噛んだ。
相手の腕が上へ引かれる。
「離せ」
迅が言う。
工員は反射的に握り込む。
吊り鎖が次の歯車へ入る。
「指が先に行く」
工員は手を放した。
長柄鉤だけが上へ運ばれ、火花の向こうへ消える。
「返せ!」
「機械へ言え」
「おまえが掛けた!」
「持ったのはおまえ」
「言い方が腹立つ!」
「知ってる」
迅は足場の端へ寄った。
右側は四メートル下の冷却溝。
左側は赤熱した炉材が流れる主線。
前から三人。
後ろから二人。
全員、赤錆の腕布。
武器は長柄鉤、耐熱盾、鎖切り鋏。
誓痕は使っていない。
使わなくても、工場の道具は人を止める。
「通すな!」
先頭が叫ぶ。
「外の連中が制御盤へ入れば、炉を落とされる!」
「制御盤じゃない」
迅。
「旧調整槽の計器を見る」
「同じだ!」
「違う」
「外から見ればな!」
工場へ入ってから、何度も聞いた言葉だった。
同じ言葉でも、言っている人間が変われば、同じ答えでは足りない。
迅は足場の後方を見る。
獅堂凱が、二人の工員と向き合っていた。
白い外套は腰まで折り、左膝に黒い装具。動く足場では、膝を捻れば終わる。
凱は拳を上げない。
「俺たちは停止命令を持っていない」
深い声が炉音を割る。
「点検申請は受理された。旧調整槽の残量計と、二番返送の逃がし弁を確認する。触れる物は申請書に記載した三点だけだ」
「白王の言葉を信じろって?」
「信じなくていい。申請書を読め」
「文字で工場が守れるか!」
「文字だけでは守れない。だから、あなたが確認者として同行する」
工員の足が止まる。
「俺が?」
「拒否できる」
「拒否したら勝手に行く」
「別の確認者を探す」
「時間がないんだろ」
「ない」
「なら命令しろよ」
凱の右手が、胸の割れた鐘へ触れた。
迅はそれを見た。
工員たちも見た。
白王の命令を待っている者と、恐れている者は、同じ顔をすることがある。
凱は手を離した。
「命令しない」
「人が死んだら?」
「命令しなかった責任を、俺が記録する」
「遅い!」
「そうだ。だが、あなたの判断を俺の声へ変えない」
工員の眉が歪む。
「……確認だけだ」
「名前」
工員は名を言った。
凱は復唱した。
その瞬間、足場が加速した。
工員が振り向く。
「速度切替!」
遠くで警報灯が黄色へ変わる。
搬送足場の継ぎ目が、凱の左足の下へ来る。
凱は跳べない。
迅が後ろへ手を伸ばす。
右ではない。
左。
「腰」
凱が迅の手首ではなく、学ランの腰布を掴む。
迅が体重を前へ掛ける。
凱の左足が継ぎ目を越える。
その間に、長柄鉤の二撃目が来る。
迅は一歩退く。
足場が進む。
相対位置は変わらない。
二歩。
床が同じ距離を返す。
三歩目へ入ろうとして、赤い七結びが熱を持った。
七退一還〈セブン・リターン〉。
守る対象を定め、暴力の源から身体一つ分を七度退く。
だが、暴力の源は誰だ。
鉤を振る工員か。
速度を変えた制御室か。
足場を動かす主軸か。
工員へ命じた鉞谷か。
止めれば給料が減る契約か。
源が多すぎる。
足場が動き、同じ一歩を地面が食べる。
迅は三歩目をやめた。
赤い紐の熱が下がる。
「使わないのか」
凱が訊く。
「どこへ返るか分からない」
「俺なら?」
「おまえへ返る」
「なぜだ」
「聞くな」
凱は笑わなかった。
「源を誤るな」
「命令する?」
「頼む」
「岳みたいで嫌だ」
「撤回する」
「遅い」
「おまえも言うのか」
迅は次の鉤を足で踏んだ。
午後四時十四分
炉心区画は、上へ行くほど暑く、下へ行くほど危険だった。
熱は上がる。
圧力は下へ溜まる。
迅たちの目的地は、その中間にある旧計器台。
工員五人が通路を塞いでいる。
彼らは事故を隠したい者だけではない。
昨日から休憩点検を出した者も二人いる。
止める権利が欲しくても、外部に止められたいわけではない。
「通路を空けてください」
凱が言う。
「拒否する」
確認者になった工員が答えた。
「理由」
「上の逃がし弁が不安定だ。人が増えると床荷重が上がる」
迅が足元を見る。
格子床の支持材。
錆。
ボルト四本のうち、一つが新しい。
「何人まで」
「四」
「今、六」
「だから戻れ」
「おまえら含めて?」
「含める」
「なら、二人が戻る」
「外の二人が戻れ」
「確認者は?」
「俺」
「じゃあ、凱と確認者。俺は戻る」
迅が即答した。
凱が見る。
「おまえが計器を読む予定だ」
「数字は読めるだろ」
「配管の源を追うのは」
「轟」
「ここにいない」
「なら呼べ」
「時間」
「床が落ちるより早い」
工員が戸惑った。
外部の戦闘員が、自分から引くとは思っていなかった顔。
「迅」
凱の声が低くなる。
「俺は行く。あなたは戻る。確認者は一人同行。残りは床の荷重を監視。異常なら全員戻す」
「命令?」
「俺の行動を決めた。あなたの行動は提案だ」
「言い直しが上手くなった」
「褒めるな」
迅は後ろへ一歩下がった。
本当に戻る。
その時、上の逃がし弁が鳴った。
金属の喉から、咳が出るような音。
工員の顔が変わる。
「来る!」
白い蒸気が格子床の下から噴いた。
床が持ち上がる。
六人の足が同時に浮く。
迅は戻るのをやめた。
床の端にある安全鎖を左手で掴み、身体を横へ投げる。
凱の外套を蹴る。
「右!」
凱が右へ倒れる。
確認者の工員が反対へ流される。
迅は右腕を使えない。
左手は鎖。
残るのは足だけ。
工員の工具帯へ靴先を掛け、引く。
帯が外れかける。
「自分で掴め!」
工員が格子へ指を入れる。
蒸気が抜ける。
床が落ちる。
今度は重力が戻る。
凱が確認者の襟を掴み、格子へ押さえた。
左膝が床へ当たる。
装具が鈍く鳴る。
迅は鎖を離し、転がった。
右腕を胸へ抱える。
痛みが遅れて来る。
「人数」
凱が叫ぶ。
「六!」
工員。
「負傷」
「なし――いや、膝」
「俺だ」
「外部一、膝」
「元からだ」
「今、打った」
「記録しろ」
工員が驚く。
凱は自分の痛みを、命令の外へ隠さなかった。
迅は立ち上がる。
「床、四人まで?」
「蒸気が来たら一人でも危ない」
「先に言え」
「今、分かった!」
「なら更新」
迅が言う。
工員は歯を食いしばり、頷いた。
「この区間、通行停止。計器台へは別路」
「ある?」
「炉側の昇降籠」
「鉞谷の持ち場」
「そうだ」
迅は赤い光の向こうを見た。
鉄志がいる。
午後四時二十九分
炉側の昇降籠は、籠と呼ぶには壁が足りなかった。
四本の柱。
腰までの鎖。
床板。
頭上を一分ごとに横切る、赤熱材の影。
迅は安全鎖の留め具を左手だけで締めた。右手を使えば速い。速さは、できることと、やっていいことをよく混同する。
「定員三名」
確認者になった工員が銘板を読む。
「俺、凱、おまえ」
迅。
「案内は俺。確認者は別の奴でも」
「途中で降ろす?」
「降り場は炉前だけだ」
「なら最後まで確認」
工員は不満そうに鎖を掛けた。
凱が乗る。
籠が沈んだ。
「定員は質量で決めるべきだな」
「今さら降りろって?」
「俺ではない」
迅を見る。
「俺、軽い」
「態度が重い」
工員が吹き出した。
笑った直後、自分が笑ったことへ驚いた顔をする。
昇降籠が上がる。
足下の床が小さくなる。
炉心区画は、上から見ると巨大な時計だった。
歯車の代わりに人が歩く。
針の代わりに搬送台が回る。
時刻の代わりに圧力が増える。
中央の垂直炉は、建物の中へ立てた夕焼けのように赤い。炉壁の覗き窓から、火が呼吸している。吸う時は暗く、吐く時は白い。
熱が下から来る。
迅の首筋を伝った汗が、鎖へ落ちる前に乾いた。
「旧調整槽は三層上」
工員が言った。
「炉前通路を東へ。計器台の裏」
「使ってない?」
「使ってる。記録に使ってない」
「違い」
「自動制御が読む。人は見ない」
「人が見ない数字で、人を動かすのか」
凱。
「今は機械が動かしてる」
「誰が機械へ任せた」
「前の工場長。たぶん」
「たぶんを署名できるか」
「できない」
「なら事実だけでいい」
凱は言った。
「誰が始めたか分からなくても、今、誰が続けているかは書ける」
昇降籠が二層目へ差しかかった。
警報灯が黄から橙へ変わる。
床下で何かがぶつかった。
籠が跳ねる。
工員の安全鎖が張った。
「停止!」
彼が叫ぶ。
籠は止まらない。
「停止索、右!」
迅は見た。
右側の柱に赤い輪。
右腕なら届く。
左手は安全鎖。
離せば三人とも不安定になる。
凱が手を伸ばした。
「俺が」
「膝」
「腕より曲がる」
「自慢?」
「現状報告だ」
凱が鎖を片手で掴み、身体を右へ傾ける。白い外套が熱気へ膨らむ。指先が赤い輪へ届く直前、籠がまた跳ねた。
左膝の装具が柱へ当たる。
凱の顔から血の気が引く。
それでも輪を掴んだ。
引く。
何も起きない。
「固着!」
工員が叫ぶ。
「二段引きだ! 一度戻して、捻る!」
「先に言え」
「今思い出した!」
「更新が多いな」
「古い設備なんだ!」
凱が輪を戻す。
手首を半回転。
もう一度引く。
籠の上で制動爪が噛んだ。
金属の叫び。
床が二十センチ沈み、止まった。
三人の体重が安全鎖へ掛かる。
熱だけが上がり続ける。
「何が当たった」
迅。
工員は床の隙間から下を見る。
「搬送屑。落ちた炉材が案内輪へ」
「取れる?」
「下から。ここでは無理」
「上へは」
「非常梯子」
柱の外側に、細い横棒が並んでいた。
凱が見上げる。
「定員一名と書いてある」
「梯子に定員?」
「同時使用禁止」
「三人いる」
「算数は王でなくてもできる」
迅は確認者へ言った。
「おまえから」
「案内が後?」
「上で止める場所を言える」
「二人を置くのか」
「先に危険を知ってる奴が行く」
工員は迷った。
迅は待った。
命令なら一秒で終わる。
選択には時間がかかる。
工場は、その時間を無駄と呼んで削ってきた。
「行く」
工員は自分で鎖を外した。
梯子へ移る。
一段。
二段。
凱が数える。
「数えるな」
「落ちた時刻が要る」
「縁起悪いな」
「落ちない記録なら、もっといい」
工員は上の踊り場へ到達した。
安全索を柱へ巻く。
「固定!」
次は凱。
「俺が先」
「膝」
迅。
「上で引き上げる腕が要る」
「俺にも左がある」
「言い争う時間、毎秒一度上がってる!」
工員が計器を見て叫んだ。
凱は迅を見た。
「命令していいか」
「自分へなら」
「では、俺が先に行く」
「勝手」
「便利な制度だ」
凱が梯子へ移った。
装具のある左脚を一段ずつ上げる。速くない。速くないことを隠さない登り方だった。
迅は籠へ一人残る。
垂直炉の呼吸が近い。
白い火。
右腕の奥で、治りかけた骨が脈を打つ。
迅は床の隙間を見た。
案内輪へ噛んだ黒い炉材。
蹴れば外れる位置ではない。
足場が止まっている今なら、七歩を作れるかもしれない。
だが守る対象は何だ。
籠か。
炉か。
先に上がった二人か。
暴力の源は、落ちた炉材か、整備されなかった案内輪か、止めない工程か。
源が三つある力は、帰り道を三つに割る。
迅は使わなかった。
使えないことと、使わないことは違う。
結果だけ見れば、どちらも派手ではない。
彼は左手だけで梯子へ移った。
午後四時四十六分
炉前通路に、鉞谷鉄志はいた。
耐熱前掛けの裾が、火の風で揺れている。
右耳の真鍮補聴器は外してあった。首の紐へ下がり、胸元で小さく跳ねる。
彼の前に工員が六人。
背後に、赤熱材を受ける傾斜樋。
樋の下端で、搬送片が詰まっていた。
流れてきた赤い塊が一つずつ積み重なり、堰になる。
「計器台へ行く」
迅が言う。
鉄志は聞こえない右側を向いたままだった。
迅は左へ回る。
「旧調整槽を見る」
「外の奴に見せる数字はない」
「機械は見てる」
「機械は働く」
「人は?」
「人もだ」
「休む?」
「交代で」
確認者の工員が目を逸らした。
鉄志はそれを見た。
「何だ」
「十二時十分、二十分点検しました」
「知ってる」
「親方は」
「炉前」
「交代、来なかった」
「今、その話か」
「今しか、親方止まらないから」
鉄志の額で汗が一筋、煤を割った。
彼は止まっていない。
両足は炉前の黄色線へ入り、右手は長い火掻き棒を握っている。
それでも返事だけが、半拍止まった。
「その票は、後で見る」
「後って」
工員の声が揺れた。
タマキなら、何分と訊いただろう。
鉄志は答えなかった。
凱が懐から澪の変更票を出す。
紙の縁が汗で波打っていた。
「南赤配管区から二十五メートルを退避範囲とする。搬送床と炉側昇降籠は、現場確認なしに使用しない」
凱が読み上げる。
「命令か」
鉄志。
「風祭澪の現場変更だ」
「白冠の笛か」
「彼女個人の署名だ」
「なら、ここへ権限はない」
「そうだ」
凱は票を工員たちへ向けた。
「従えとは言わない。読んだ者が、自分の持ち場でどうするか選べ」
「選ばせて事故が起きたら、誰が取る」
鉄志の声が低くなる。
「彼女は命令変更を取った」
凱。
「俺は、これを読んだ責任を取る。選んだ工員の名前を、賛成の数へ隠さない。おまえは?」
「炉を取る」
「炉に名前はあるか」
「食わせる街がある」
「街はおまえへ、死ぬまで立てと言ったか」
「止めた後は?」
鉄志が返す。
短い問いだった。
凱の言葉が止まる。
炉前の熱は、沈黙まで乾かす。
「代わりを調べている」
「調べてる間に湯は冷える」
「人が焼けても湯は出る」
「焼かせん」
「昨日、焼けた」
鉄志の目が迅へ移る。
「だから俺が立ってる」
「立つ場所、増えた?」
「何」
「親方が立つほど、他の奴も休めない」
確認者の工員が息を呑んだ。
鉄志の左手が開く。
拳にはならない。
次の瞬間、傾斜樋の詰まりが崩れた。
赤熱材が三つ、重なって落ちる。
「下がれ!」
鉄志の声で、六人が一斉に動いた。
退き方が同じだった。
全員、炉へ背を向けず、斜めに三歩。
訓練されている。
鉄志だけが前へ出る。
火掻き棒を詰まりの下へ差し込む。
赤い塊の一つが跳ねた。
工員の若い男へ向かう。
迅は左へ踏み込んだ。
鉄志も動いた。
二人の肩がぶつかる。
迅は工員の胸を蹴り、黄色線の外へ転がす。
鉄志は耐熱盾を上げ、赤熱材を受ける。
盾の表面が白くなる。
衝撃で鉄志の膝が曲がる。
だが倒れない。
工員たちの視線が、全て炉前へ集まっていた。
炉心不落。
誰かが炉を見ている限り、鉞谷鉄志は炉前で膝をつかない。
能力は彼を立たせる。
熱は彼を焼く。
立てることは、無傷であることではない。
「水!」
鉄志。
「掛けるな!」
別の工員が叫ぶ。
「急冷で割れる!」
「砂!」
迅が足下の消火砂箱を蹴る。
蓋が開かない。
封印金具。
右手なら引きちぎれる。
迅は左踵を金具へ落とした。
一度。
曲がる。
二度目で外れる。
凱と工員が砂袋を引き出す。
赤熱材へかぶせる。
火の色が赤から黒へ沈む。
鉄志は盾を下ろした。
右手の古い火傷痕が、手袋の隙間から覗く。
「怪我」
迅。
「ない」
「盾の持ち方、変わった」
「熱いだけだ」
「怪我」
「ない」
「二回答えた」
「うるさい」
若い工員が起き上がる。
「親方、すみません」
「見るな。詰まりを抜く」
「でも」
「持ち場へ」
「退避票」
「今は炉だ」
「いつも今は炉だ」
その言葉は小さかった。
機械音へ消えるはずだった。
鉄志は左耳を向けた。
聞こえていた。
赤熱材がまた樋を滑る。
鉄志は火掻き棒を構えた。
「旧調整槽を見ろ」
言った。
迅が目を細める。
「通す?」
「五分」
「短い」
「炉前で五分は長い」
「計器が多い」
「読める奴を連れてけ」
確認者の工員が手を上げる。
「俺が」
「おまえは搬送床を閉めた」
「だから、閉めた先を確認する」
鉄志は工員を見た。
自分の命令を待っている顔ではなかった。
「行け」
工員は頷いた。
凱が先に歩く。
迅は動かなかった。
「おまえは」
鉄志。
「ここ」
「五分だぞ」
「三分でいい」
「殴る気か」
「今は炉を見てる」
「見てる奴がいるから、俺は倒れん」
「知ってる」
「なら目を逸らせ」
「倒れたい?」
鉄志が火掻き棒を握り直した。
「働きたい」
「同じ?」
「今はな」
迅は詰まりの流れを見る。
赤熱材は二秒ごと。
火掻き棒で右へ送る。